Pioneer F-120 (3号機) をゲット!
2022年7月31日、ヤフオクにて
Pioneer F-120
を999円で落札しました。
パルスカウント検波
の PLL シンセサイザ FM/AM チューナです。
故障しているらしく、修理してみたかったのです。
道楽です。
程度&動作チェック
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出品者のコメント
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通電のみ確認済みです。
ジャンク扱いでお願いします。
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[STATION CALL] ボタンが押せません。
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外観
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製造シリアル番号は [CL1008322] で、電源コードの製造マーキングより本機は [1982年] 製造品とわかりました。
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フロントパネルの天板への折り返し部分に少し線キズはあるが、かなり綺麗です。
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リアパネルは非常に綺麗で端子類も光り輝いています。
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天板にはキズがあって、サビも出かかっていますが、ヘコミ等はないです。
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底板は非常に綺麗です。
ですから、外観的に NG なのは天板だけです。
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本体を持って揺するとカラン・コロンと音がします???
ゲゲゲの鬼太郎か?
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電源 ON してチェック
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電源は入りましたが何にも操作できません。
これ以上チェックしようがないです。
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カバーを開けてチェック
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内部は綺麗ですが、大きなコントローラ IC [TC9147P] の 42pin の足のうち4本に赤錆がありました。
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逆さまにして揺すると 7.2MHz の水晶発振子が転げ落ちました!
カラン・コロンと音がする原因です。
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水晶発振子が無いのなら、コントローラ IC が動く訳ないよね、納得です。
リペア
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[7.2MHz 水晶発振子] が外れている
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転げ落ちた水晶発振子のリードは根元で折れていて再利用不可でした。
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そこで手持ちの [7.2MHz 水晶発振子] を実装すると、各ボタンが操作できるようになりました。
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[UP] [DOWN] ボタンで周波数表示は動くが全く受信してる気配がありません。
新たに判明した不具合です。
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全く受信できない
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どの周波数に設定しても、VT 電圧が (電源 ON から) ジワジワと上がっていき、最高電圧の 28V で止まります。
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この現象は PLL ロックできないからです。
原因は3つ考えられます。
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PLL コントローラへ OSC 発振周波数が注入されていないか?
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OSC 発振周波数はプリスケーラを経由して PLL IC の [TC9147P] に入ります。
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ここの波形は 3Vp-p あったので正常です。
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VT 電圧アンプが故障していないか?
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トランジスタや FET は正常で、アンプも正常に動作しています。
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残るは、PLL IC の [TC9147P] が故障している?
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[TC9147P] は pin が錆びていたこともあり、原因として十分考えられます。
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[TC9147P]→[TC9147BP] に交換してみました。
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[TC9147P] は手持ちが無かったのですが、[TC9147BP] はありました。
データシートを見て置き換え可能と判断しました。
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42pin もある大きな IC なので、本音は交換したくないのですが、やむを得ない。
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交換して動作確認したら
ウソのように直りました!
IC なのでどこがどうという内部解析は無理です。
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交換した部品の記録写真
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交換前に基板に載っていた部品です。
左は [水晶発振子]、右は [TC9147P] です。
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[TC9147P] は足が錆びていて再利用不可なので、精密ニッパで足を切って外しました。
基板を痛めない最善の方法です。
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[STATION CALL] ボタンが押せない
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原因は、ボタンとタクトスイッチの間に挿入されたスポンジクッション材が経年劣化でボロボロになったためでした。
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手持ちのスポンジクッション材と交換して直りました。
再調整
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電源電圧チェック (VP)
VP |
標準値 |
実測値 |
判定 |
Q403-C (放熱板) |
+13.7V |
+13.4V |
〇 |
Q405-C (放熱板) |
+5.5V |
+5.41V |
〇 |
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F-120 (1号機)
に記載の手順で再調整しました
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ステレオ時の全高調波歪率は 0.008% (WIDE 1kHz) で超優秀です。
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ステレオセパレーションなどは以下のように素晴らしい数値になりました。
項目 |
IF BAND |
L |
R |
単位 |
ステレオセパレーション |
WIDE |
69 |
70 |
dB |
NARROW |
68 |
59 |
dB |
パイロット信号キャリアリーク |
WIDE |
-62 |
-63 |
dB |
オーディオ出力レベル偏差 (MONO) |
0 |
-0.13 |
dB |
CAL TONE |
304.7 |
Hz |
-5.9 |
-5.9 |
dB |
使ってみました
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デザイン
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FM を良い音で聴くためのシンプルデザインです。
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操作系もいたってシンプルです。
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表示は周波数を含め全て LED でシンプルな表示です。
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FM アンテナ入力端子が F 端子なので、妨害電波が混入しないです。
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FM の感度と音質
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スウェーデン国立放送局のモニタ機
に選定された実力があります。
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感度はかなり良いです。
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ステレオセパレーションが高く、スッキリとしているが比較的柔らかいパイオニアトーンです。
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AM の感度と音質