SONY ST-S222ESA (2号機) が到着
2022年8月16日、横浜市鶴見区の M さんより
SONY ST-S222ESA
の修理依頼品が到着しました。
程度&動作チェック
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修理依頼者のコメント
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ステレオ受信ができない。
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オートチューニングで受信局で止まらない。
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受信局のプリセットができない。
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外観
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製造シリアル番号は [202313] で、電源コードの製造マーキングより [1991年製造品] とわかりました。
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[AM ループアンテナ] が添付されています。
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ややキズがある並みより劣る中古状態です。
致命的なものではないので、実用品としては問題ないです。
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本体を揺するとカラン・コロンと音がします。
ゲゲゲの鬼太郎が住んでいるようです。
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電源 ON してチェック
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電源は入りました。
ディスプレイの輝度はやや薄くなっている箇所がありますが、まだまだ使えそうです。
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FM 受信
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S メータの振れが少ないです。
しかし感度低下しているようには感じません。
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MUTING ON では音が出ません。
MUTING OFF にすると放送が受信できました。
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[STEREO] 表示が出ず、[AUTO TUNING] ができません。
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AM 受信
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FM/AM ともプリセットはできましたが、電源コードを抜くと一瞬で消えます。
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カバーを開けてチェック
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[C712 330uF/50V] 電解コンデンサの足が腐食して外れ筐体内に転がっていました。
カラン・コロンの原因です。
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[C716 330uF/50V] 電解コンデンサにも膨張が見られます。
交換要です。
リペア
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[C712 330uF/50V] [C716 330uF/50V] 故障
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[C712] [C716] いずれも [470uF/50V] と交換しました。
左の写真は不良だった電解コンデンサで、右の写真は交換後です。
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放熱板に近い [C716] は少し足を伸ばして、放熱板の熱から逃げるようにしました。
熱による電解コンデンサの劣化を防止。
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[STEREO] 表示が出ず、[AUTO TUNING] ができない
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原因はどちらも同じで、FM 同調点検出ができないためです。
IFT 再調整で直ることもありますが、今回はダメでした。
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左の写真で IC の左隣の緑マークの IFT251 の故障です。
内蔵チタコンの容量抜けです。
この IFT は入手困難です。
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代替案として、IFT251 を一旦基板から取り出し、内蔵チタコンを取り去り、コンデンサを外付けします。
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右の写真のように 100PF 30ppm/℃ 温度補償積層セラミックコンデンサを基板の裏側に取り付けました。
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コンデンサを交換してから再調整で、[STEREO] 表示が出て、[AUTO TUNING] ができるようになりました。
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FM/AM ともプリセットできるが、電源コードを抜くと一瞬で消える
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電解コンデンサ交換で直ったのですが、どの程度持つのか試験困難なので、念のため電気二重層コンデンサを交換しました。
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電気二重層コンデンサは [フロントパネル基板] に実装されています。
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下の写真の左が実装されていた電気二重層コンデンサ [0.1F/5.5V] で、右が交換した [0.47F/5.5V] です。
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ST-S222ESA 取扱説明書には [電源を切った状態でも、約1ヶ月保存されます] と記述されています。
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電気二重層コンデンサの容量が5倍になったので、数ヶ月は持つような気がします。
試験できないので保証はしませんが。
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再調整
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ST-S222ESA (1号機)
に記載の調整手順で再調整しました。
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FM ステレオセパレーションなどは以下となりました。
良い数値が出ました。
項目 |
L |
R |
単位 |
ステレオセパレーション (1kHz) |
62 |
68 |
dB |
パイロット信号キャリアリーク |
-71 |
-70 |
dB |
オーディオ出力レベル偏差 (MONO) |
0 |
-0.04 |
dB |
CAL TONE 信号 |
281.3Hz |
Hz |
-7.9 |
-7.9 |
dB |
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AM も大幅に調整がズレていました。
再調整後は感度が大きく上がりました。
使ってみました
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デザイン
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良いデザインです。
さすが SONY ES シリーズです。
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フロントパネルはアルミヘアラインで質感があります。
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チューニングノブは大きく 最大径50.5mm/最小径40mm の無垢アルミです。
上位機種の ST-S333ES シリーズと同じものです。
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FM アンテナ入力は F 端子で妨害電波が混入しないです。
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ステーションメモリは、[A] [B] [C] シフトで30局分あります。
バンドに関係なく、ランダム記憶できます。
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性能
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3連バリキャップフロントエンドに関わらず、感度と妨害電波排除能力は良好です。
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ST-S222ESA は MPX に ST-S333ES シリーズと同じグレードの高い IC を使っており、音質に期待できます。
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FM の音質は明瞭で軽い音ですが、間違いなく ES シリーズの音です。
AM 音質も明瞭に感じます。