SONY ST-SA5ES (3号機) をゲット!
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2011年1月19日、ヤフオクで
SONY ST-SA5ES
の故障品を落札しました。
5,849円と高額でしたが、故障と聞くとどうしても欲しくなるのは、たぶん
病気
でしょう。
出品者のコメントは以下の通りです。
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電源は入るような音はしますが、ディスプレイしないので確認できません。
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本体のみです。
天板や正面に小キズはありますが、綺麗なほうと思います。
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到着時のまま、状況チェック
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まずは写真を見て何かオカシイと思いませんか?
そうです、天板が前後逆です。
これは少なくとも天板を取り外したということです。
心配して内部を確認すると、いじられた形跡はありませんでした ・・・ ヤレヤレです。
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フロントパネルの左下エッジに少しキズはありますが、それ以外にキズはありません。
フロントパネルの折り返しで天板側にムラがあります。
天板に擦れ汚れがあります。
リアパネル, 側板, 底板はいずれも綺麗で問題ありません。
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「天板、側板の取り付けネジ(全部で14本)」に錆、「リアパネルの銅メッキネジ(全部で10本)」にくすみが出ています。
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電源スイッチを入れても内部のリレー音が聞こえるだけで、FL 表示も出ず、全く動作しません。
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使用 IC のロット番号より、この ST-SA5ES は1994年製と判明しました。 電源ケーブルの製造マーキングも1994年でした。
修理
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状況からは電源関係の不具合と見立てました
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まずは電源の電圧チェックをしようと、筐体(GND)〜電圧ポイント間の電圧をチェックするも、全く電圧がありません。
左側で MPX〜CONTROL 間のアースバーを GND にして電圧ポイントの電圧をチェックすると正常な電圧が出ています。
→ これは GND 系統がオカシイと言う事です
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左側で MPX〜CONTROL 間のアースバーを基点にして、各アースバーの導通チェックをすると、「WOIS〜DET 間のアースバー」「MPX〜POWER SUPPLY 間のアースバー」の導通がありません。
これ以外のアースバーでは導通があります。
→ これはアースバーが半田クラックしていると言う事です
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アースバーの半田クラックを補修しました。
→ 結果、見事! FL 表示が出て正常動作するようになりました。
FL 表示の輝度も新品同様です。
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修理後の電源電圧を測定してみました。
全て正常です。
ジャンパー |
表示電圧 |
標準電圧 |
実測電圧 |
判定 |
備考 (用途) |
JW88 |
+30V |
+30.9V |
+30.8V |
正常 |
PLL (同調) |
JW89 |
+15V |
+16.3V |
+14.9V |
正常 |
AUDIO SYSTEM |
JW145 |
-17V |
-17.5V |
-17.5V |
正常 |
FL 管 |
JW213 |
+13V |
+13.6V |
+13.2V |
正常 |
DIGITAL SYSTEM |
JW220 |
+5V |
+5.6V |
+5.6V |
正常 |
DIGITAL SYSTEM |
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FM 感度が悪い
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アースバーの半田クラック補修後に使ってみると、FM の感度が非常に悪いのです。
放送波で FM フロントエンドの [CT101] [CT102] [CT103] の RF 系トリマコンデンサを調整すると感度は一旦上がりますが、しばらくすると感度低下します。
再度トリマコンデンサを調整すると感度は一旦上がりますが、しばらくすると感度低下します。
これの繰り返しです。
→ これはトリマコンデンサが不良と言う事です
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使用しているトリマコンデンサは写真と同じもので色は茶です。
不良になるのは裏側の写真で判るように、ハトメのような接触部が接触不良を起こすのです。
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ST-SA5ES 純正 [CT101] [CT102] [CT103] トリマコンデンサは 8.2PF ですが、
村田製作所
の
TZ03Z100F169
という 10PF タイプ(青色)と全数交換しました。
(
千石電商
で1個60円です。)
→ 結果、見事!直りました
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外観の補修
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天板, 側板の錆びたネジは、アキバの「ネジの西川」で買った [バインド 3×6 ネジ] と交換しました。
ネジを交換するとピカッと光って気持ちイイです。
写真の上が純正ネジ、下が購入したネジです。
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リアパネルに見える銅メッキされたネジを内部の綺麗なネジと交換 ・・・ 内部は見えないので十分でしょう。
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全体のゴミを排除してから OA クリーナにてクリーニングしました。
完全には綺麗になりませんでしたが、並みの中古の外観に戻りました。
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全体に再調整
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ST-SA5ES (1号機)
に記載の調整手順にて再調整しました。
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感度や音質がグ〜ンと上がり、ST-SA5ES 本来の艶っぽい音が蘇りました。
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再調整結果は以下です。
問題なく良好な数値です。
項目 |
IF BAND |
L |
R |
単位 |
ステレオセパレーション |
WIDE |
55 |
59 |
dB |
ステレオセパレーション |
NARROW |
38 |
36 |
dB |
パイロット信号キャリアリーク |
- |
-70 |
-64 |
dB |
オーディオ出力レベル偏差 (MONO) |
- |
0 |
0 |
dB |
CAL TONE 信号 |
- |
398.4Hz
-5.4 |
398.4Hz
-5.4 |
dB |