SONY ICF-801
SONY ICF-801 をゲット!
2017年1月16日、東京都大和市の H さまから動作不具合のあるポータブルラジオ
SONY ICF-801
を研究用に寄付していただきました。
アナログチューニングで
FM 補完放送
対応ポータブルラジオです。
2011年12月に新品購入したとのこと ・・・ 1オーナ品です。
不具合は
「 FM 受信でガサガサバリバリ擦過音が入りでチューニングしずらく使い辛い 」
らしく、カバーを開けて少しいじってみたが直らず、廃棄するとのことでいただきました。
さてさて、直るかな???
到着時点でのチェック
外観など
1オーナのためか、[元箱] [イヤホン] [取扱説明書] など完璧に揃っていました。
目立たないスレはありますが、全体的に綺麗な外観です。
少し綿埃のようなものがあります。 [同調ノブ] [音量ノブ] の溝に垢が溜まっています。
AC コードをつないで動作確認
各スイッチ、ボタン、ノブの動作は正常です。 ランプ切れもありません。
ダイヤル指針が 2〜3mm 下にズレている ・・・ H さまのほうでカバーを開けた際にいじってしまったようです。
FM 受信で 78〜80MHz 付近で同調ノブを回すとバリバリガサガサという大きな雑音が出る。 ただし、放送は受信でき、受信したあとは正常だし雑音も出ない。
AM 受信では異常なく良好です。
カバーを開けて中身をチェック
作りが良く、[表カバー] [裏カバー] いずれからでも開くことができます。
[ラジオ基板]+[機構部] が1ユニットになっていて単独で外せる構造です。
基板は [ラジオ基板] [電源基板] の2枚です。
IC は以下の2個が使われています。
メーカ
型式
機能
SONY
CXA1019S
FM/AM Radio
STM
TDA2822M
DUAL LOW-VOLTAGE POWER AMPLIFIER
CXA1019S は全ての FM/AM ラジオ受信機能とスピーカ駆動のパワーアンプ機能を持つスーパーチップです。
CXA1019S にはパワーアンプも内蔵されていますが ・・・
わざわざパワーアンプの TDA2822M を使った理由は、4.5V 駆動でも大きな出力が欲しかったからと思います。
CXA1019S 単独だとせいぜい 300mW ですが、TDA2822M の BTL だと 700mW が期待できます。
手持ちの
ICF-800
と比較しました。
ICF-800 は ICF-801 の前作にあたり、FM のダイヤル表示の 90MHz 以上がアナログ TV の [1] [2] [3] チャンネル表示になっています。 外観はこれ以外に違いはないです。
巷の情報ではスピーカが違うとありました。 確かにスピーカが違うものの、そのグレードは同程度です。
音質もあまり変わらず、やや ICF-801 は華やかな音かなという程度。
修理&クリーニング
ダイヤル指針が 2〜3mm 下にズレている
ポリバリコンとダイヤル指針の駆動はベルト式でした。
調整方法は、基板を少し浮かしポリバリコンとの結合を解除してからダイヤル指針を動かし、再度ポリバリコンと結合します。
構造が良いのでミリ単位で調整でき、ダイヤル指針位置の狂いが直りました。
ダイヤル指針位置は直ったのですが、ダイヤル指針と周波数ダイヤルのズレが大きいと判りました。
ダイヤル指針と周波数ダイヤルのズレが大きい
SSG を使って FM/AM ともトラッキング調整しました。
ICF-780 Service Manual
を参考にしました。
ラジオ受信回路はほぼ同じと思います。
調整できるのは FM/AM トラッキングと AM IF くらいで、その他は無調整回路となっています。
特に経年変化をおこしやすいクオードラチュア検波の位相フィルタにセラミックフィルタが使われているのでズレません。
FM/AM ともダイヤル指針と周波数ダイヤルが合うようになりました。
同調ノブを回すとバリバリガサガサという大きな雑音が出る
上記のトラッキング調整をしたら、バリバリガサガサという大きな雑音が出る現象が直ってしまいました。
だから原因がよくわかりませんが、周波数ズレが影響していたようです。
クリーニング
内部の埃をブラシとエアーで清掃しました。 結構、埃がありました。
ダイヤル面にキズのようなものが見られましたが、清掃で消えたので汚れでした。
念のため、KOYO ポリマール(研磨つや出し布)で磨いて透明度を改善しました。
ツマミに貯まった垢を電気シェーバ用の硬めのハケで落としました。
スイッチや端子など
[電源] スイッチ ・・・ 電源を ON/OFF します。
[ライト] ボタン ・・・ 押すとダイヤル面を50秒程度照明して自動的に消灯します。
[バンド] スイッチ ・・・ 受信バンドの FM/AM を切り換えます。
[同調] ノブ ・・・ 回転させて受信周波数を変えます。 放送局に受信周波数が合うと [同調] ランプが点灯します。
[音量] ノブ ・・・ 音量を調節します。
イヤホン端子 ・・・ イヤホンのプラグを挿入すると、内蔵スピーカから音は出なくなります。 適合プラグは 3.5mm モノラルミニです。
[AC IN] 端子 ・・・ AC100V で電源供給する時に使います。 付属の AC コードを挿入します。
電池ホルダ ・・・ 乾電池で使う時は、単2乾電池×3本を挿入します。
使ってみました
デザインなど
バリコン式ラジオとして愛着が持てる素敵なデザインです。
ICF-800
の TV チャンネル表示が周波数表示に変わってスッキリしました。
でも 95〜108MHz で放送はやっていません。 海外に持参した時に役に立つかな。
大きさはポータブルとしてはちょうど良いです。
後ろ側に収納されているキャリングハンドルを立ち上げる際に僅かなクリック感があってイイです。
FM はロッドアンテナで、AM は内蔵バーアンテナで受信します。
FM 補完放送
に対応
FM 補完放送は 90〜95MHz 帯で放送されます。 AM 放送の FM サイマル放送ですが音が良いです。
感度
FM の感度は良いです。 越谷でも IBS 茨城放送の FM 補完放送が良好に受信できています。
AM は 120mm 長のバーアンテナを使っているため、感度は良いです。 夜になると関西の放送も受信できます。
音質
ラジオ音質としてはかなり良いです。
[高出力 BTL パワーアンプ] [直径 102mm のスピーカ] 内蔵の相乗効果で、余裕のある低音が出ます。 高音も綺麗です。
仕様その他
ドキュメント
ICF-801 取扱説明書
仕様は以下です。