ADSL 8Mbpsの役に立つ(?)技術解説です。
ADSLでは0〜1,104KHzの帯域を256分割して
0〜255チャンネル
として使います。
1チャンネルあたり4.3125KHz
の帯域を占有します。
ADSL上りは6〜31チャンネルで26〜138KHzを、下りは37〜254チャンネルで160〜1,100KHzを、音声は0〜4KHzを使うのでお互いに重なりがなく共存可能なことがわかります。
(これは8Mbpsのサンプル)
(これは1.5Mbpsのサンプル)
問題はISDNが使う帯域とADSLが使う帯域が重なることです。
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上図のように8Mbpsの場合、1,100KHzまでの周波数を使います。
このような高い周波数を使うので、伝送距離で信号が大きく減衰します。
伝送速度を数100Kbpsを目標としても線路長は4.5Kmが限界です。
1Mbps以上の速度は線路長がせいぜい 3Km以内でしか出ないと思われます。
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ADSL 8Mbpsの物理規格は「ITU-T G.992.1 Annex-C」です。
ADSL 1.5Mbpsの物理規格は「ITU-T G.992.2 Annex-C」です。
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「G.922.1」は通称「G.dmt」と呼ばれ、フルスペック高速型です。
「G.922.2」は通称「G.lite」と呼ばれ、低速型のADSLです。
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「Annex-C」は日本型のADSL規格です。
日本の特殊事情を配慮した規格となっています。(アメリカは「Annex-A」、ヨーロッパは「Annex-B」です。)
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日本の特殊事情とは?
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日本のISDNの規格は世界的にみると古いのです。
よって0〜320KHzもの帯域が必要でこれがADSLに干渉してしまいます。
欧米のISDNでは0〜80KHzの帯域しか使いません。
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NTT収容局から家庭の保安器までの伝送路は「カッド」と呼ばれる単位の撚線が使われます。
日本の場合1カッドに4線が入り、これで2回線分を収容します。(欧米では1カッドに2線です。)
この場合、片方がADSL、もう片方がISDNであったとすると、モロにISDNがADSLに干渉します。
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「Annex-C」ではISDNの干渉を避けるため、2.5mSごとに行われるISDNの通信と同期してADSLの通信を行います。
このようにしてISDNからの干渉を最小限にする規格です。
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以上のようにADSLは中波ラジオと同じ程度の周波数帯域を使うので、ADSLモデムは中波ラジオを聞きながら一番雑音の少ない場所に設置しましよう。
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「LINE〜スプリッタ」「スプリッタ〜ADSLモデム」を接続するケーブルは通常の平行ケーブルではなく、ツイストペアの高速通信用ケーブルを使いましょう。