スタジオモニターの定番
2004年8月24日、スタジオモニター定番の
SONY ZS-M5
という CD/MD/ラジオを入手しました。
HARD・OFF
阪急大井町店
のジャンクコーナーで2,500円でした。
ジャンクの理由は「CD 再生(音飛びすることあり)、MD 録再 OK、トップパネル電動開閉できず」です。
外観は非常に綺麗。
スピーカーサランネットにも破れや穴はありません。
キズや汚れがほぼ無い状態です。
外観が綺麗というのはかなりポイントが高いです。
いくら修理しても外観は直せないです。
そして綺麗ということは大切に使われていたことを意味し、修理も最小限で済みます。
本機がスタジオミニター定番機種であるし、最悪 CD ピックアップ交換となっても3,000円くらいの部品代で直るので、どうしても捕獲すべき逸品と言えます。
(参考)ZS-M5 の新発売日は1997年4月21日で、定価62,000円(税抜)です。
トップパネルは電動開閉です。
格好イイ!
ラジカセの類では珍しくスピーカーサランネットが取り外せます。
ヘッドホン端子が2個もあり、フロント側に付いているので使いやすいです。
本体裏側には「LINE IN」「FM アンテナ入力」「AM アンテナ入力」「AC 入力」の端子があります。
「リモコン」「AM ループアンテナ」「AC100V コード」が添付されていました。
AC100V コードの本体側コネクタは L 型となっており、非常に珍しいです。
持ち帰り後のチェック
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購入店での症状表示より、CD はあんまり期待していなかったのですが、問題なく再生しました。
最初 CD-R を再生しなかったのですが、光ピックアップをクリーニングしたらこれもOKになりました。
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MD 再生全く問題なく、CD→MD へデジタル録音しても動作良好です。
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チューナー受信全く問題なし。
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トップパネルの電動開閉機構に問題ありました。
モータ音はしているが自動開閉しない。
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結局、トップパネルの自動開閉以外には何にも異常はない訳で、
すんなり動いて拍子抜け
です。
評価
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音は抜群に良い
です。
この音を聞けば最近の安っぽい CDラジオの音はとてもプアだと誰でも判ると思います。
いわゆるパーソナルオーディオシステムの類で Hi-Fi という訳ではないのですが、音のバランスがとても良くて小音量のモニター用途に使えます。
これがスタジオモニター定番の所以でしょう。
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CD/MD/ラジオ というと安物オーディオのイメージがあると思いますが、本機のようなスタジオモニター定番機種では全然違います。
外装はプラスティックなのですが、プラスティックの質が全然違う。
厚みと質量のあるプラスティックです。
ちゃんと音響計算して作られたプラスティックボディーなら並みの木製ボディよりも良い音がします。
プラスティックのほうが全体の緊密性・密閉性・共振の面で有利です。
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通常のラジカセであるような裏面でのボルト締めはありません。
どうやって組み立てているのだろう?と調べてみると、前面パネルから強力なボルトで接合しているようです。
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ラジカセの類では珍しく、フロントのスピーカーサランネットが取り外しできます。
これも高級機である証です。
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トップパネルが電動式でワンタッチでス〜〜と開きます。
これも高級機である証です。
トップパネルが開くと設定ボタンや MD編集ボタンがズラ〜と並んでいます。
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重さは 6.2Kg でズッシリ重いです。
しっかり作られていることが推測できます。
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プレシャス回路となっており、入力セレクタがアナログスイッチングではありません。
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オーディオ系/デジタル系/FL表示系の電源トランス巻線を独立させて、お互いの干渉を最小限に抑えています。
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FMチューナーがステレオであることは当たり前なのですが、本機の AMチューナーは AMステレオ仕様なのです。
現在、AMステレオラジオは絶滅寸前状態なので、とても貴重です。
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ヘッドフォン端子が2個もあります。
彼女と2人だけで音楽を楽しめます。
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LINE IN 端子があります。
安いラジカセにはないです。
LINE IN 端子があるのは高級機の条件です。
分解
スピーカーサランネットを外すと8本のネジがあり、これらを外すと簡単に前後に分かれ、内部が見えるようになります。
更に正面側の4本のネジと底部の2本のネジを外すと CD/MD/トップカバー/アンプ が一体のユニットとして外部に取り出せます。
この状態でケース側に残るのは、電源トランス&基板、チューナー基板となります。
フロントパネルの裏側です。
スピーカーにマグネットが大きい良いユニットを使っています。
バスレフ構造となっています。
取り出した CD/MD/トップカバー/アンプ の一体ユニットです。
「手馴れた作り」という感じがします。
さすが SONY ですね。
これが FM/TV/AM PLL シンセサイザー基板です。
たったこれだけ!・・・基板をよく見るとスルーホールがあって両面パターンのようです。
外してないので確認していませんが、おそらく裏面にも IC とかチップ抵抗などが載っていると思います。
トップパネル電動開閉機構の修理
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フロントパネルとリア部を分離すると、コロコロとギアが1個転がりました。
ありゃ〜!!!電動開閉トップカバーが動作しない原因はギア外れでした。
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このギアをギアボックスに再取付しました。
外れたギアにもギアボックスにも損傷が見られないないし、更にギアの動作をよく見ていると、この外れたギアはエマージェンシー状態(扉に大きな機械的負荷がかかった場合。)になった時に外れるようにギア歯がスクリューになっているようです。
エマージェンシーでまずギア落ちをし、それでも回避できなかったらギアを脱落させる・・・何と言うか老練機構エンジニアの良心のようなものが感じられます。
ですから、ギア再取付だけで何らの問題はないでしょう。
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早速、電動開閉トップカバー動作試験!!!
動作しました・・・パチパチパチ・・・と書きたいところですが、そうではありませんでした。
電動開閉トップカバーは
- OPEN/CLOSE ボタンを押すとオープン・・・正常
- 再度 OPEN/CLOSE ボタンを押すと一旦クローズして勝手にオープン
要するに電動開閉機構はほぼ正常になったのですが、クローズできないのです。
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更に分解して調査
こういう原因はもうメカではなくてセンサーに決まっています。
センサー部は1枚の基板になっており、取り外すと回転検出センサー(光センサー)とリミットスイッチが2個ありました。
回転検出センサーで電動開閉機構のモータの回転が止まるとモータ電源を OFF すると思います。
リミットスイッチでオープン位置とクローズ位置を検出するはずです。
リミットスイッチとギアの位置を調整・・・これで完璧に直りました。
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せっかく分解したので各部の清掃や CD ピックアップの清掃などをして組み立てました。
そして全ての動作チェックをして完璧に動作することを確認しました。
!!!パチパチパチ!!!
主な仕様
・受信周波数 FM: 76〜90 MHz(ロッドアンテナ/外部アンテナ)
TV: 1〜3 CH(ロッドアンテナ/外部アンテナ)
AM: 531〜1629 kHz(外部 AM ループアンテナ)
・CD 部 周波数特性 20〜20,000 Hz ± 1dB
・MD 部 周波数特性 20〜20,000 Hz ± 2dB
サンプリング周波数 44.1KHz
ATRAC(Adative TRansform Acoustic Coding)
・スピーカー 直径8cm 丸形4Ω×2個
・実用最大出力 7W+7W(EIAJ)
・入力端子 LINE IN(ステレオミニ)×1個
・出力端子 ヘッドホン端子(ステレオミニ)×2個
・電源 ・本体用:家庭用電源(AC100V, 50/60Hz)
・リモコン用:リチウム電池 CR2025×1個
・最大外形寸法 440(W)×200(H)×178(D)mm
・質量 6.2Kg
・付属品 カードリモコン(RMT-CM3)
AM ループアンテナ
電源コード