Victor FX-711 (3号機) をゲット!
2011年6月3日、
Victor FX-711
の動作品を神奈川県の S 様より寄贈いただきました。
寄贈者よりのコメントは以下です。
部品交換や改造がされているようです。
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外観は一見キズなしですが、よく見ると細かいキズが少しだけあります。
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電源部の電解コンデンサを全数交換。
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FM 用 RF トリマコンデンサを全数交換。
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オーディオ最終出力段のオペアンプを交換
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IC402, IC403 を IC ソケット化し、M5219 (三菱) から OPA2604AP (BURR-BROWN) に変更しました。
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OPA2604AP は高域の透明感が増し POPS, JAZZ 系に向きます。
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M5219 はビクターらしい柔らかい音が出ます。
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AM で時折ノイズが出ます。
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プリセットメモリ用コンデンサが弱っています。
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AM 用のループアンテナ無し。
程度&動作チェック
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外観
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電源 ON してチェック
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FM/AM とも正常に動作します。
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タクトスイッチは全て正常に動作します。
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FL 表示管の輝度は新品同様です。
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分解してチェック
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写真のように、IC402, IC403 を IC ソケット化し、OPA2604AP (BURR-BROWN) が実装されている。
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FM フロントエンド内トリマコンデンサ×5個が 20PF タイプに交換されている。
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ネジの一部が不正
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リアパネルと天板を結合するネジがバカになっている。
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底板を止めるネジに一部がオリジナルと違う。
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フロントパネル上部を止めるナイロンラッチがネジに置換されている。
修理
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AM で時折ノイズが出る
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AM フロントエンド内トリマコンデンサ (20PF) ×2個を交換して直りました。
写真の左上側の赤色トリマコンデンサです。
1個は見えにくいですが一部写っています。
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FM フロントエンド内トリマコンデンサが 20PF タイプに交換されている
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10PF タイプのほうが適合します。
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10PF ×5個に交換しました。
写真の右側の青色トリマコンデンサです。
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ネジの一部が不正
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リアパネルと天板を結合するネジがバカになっているので、一回り大きいタップネジと交換しました。(2本)
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底板を止めている不正規ネジをオリジナル同等品と交換。(4本)
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フロントパネル上部を止める部分をオジジナル同等のナイロンラッチと交換。(3本)
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プリセットメモリ用コンデンサの劣化
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使ってみて特に問題なかったので、コンデンサを交換しませんでした。
調整結果
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シンセサイザーチューナーと言っても10年も経つとコイルやトリマーはズレます。
FX-711 (2号機)
に記載の手順で再調整しました。
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電圧チェック
測定ポイント |
標準値 (V) |
実測値 (V) |
備考 |
Q801-E |
+30 |
+29.05 |
VT 電源 |
Q803-E |
+12 |
+12.47 |
オーディオ電源 |
Q808-E |
-12 |
-12.95 |
オーディオ電源 |
Q805-E |
+5 |
+5.03 |
ロジック電源 |
J705-3pin |
+5.6 |
+5.76 |
MCU 電源 |
J705-5pin |
-35 |
-34.98 |
FL 電源 |
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調整結果
FM ステレオセパレーションなどは以下です。
良い数値です。
項目 |
IF BAND |
L |
R |
単位 |
ステレオセパレーション |
WIDE |
59 |
59 |
dB |
ステレオセパレーション |
NARROW |
23 |
23 |
dB |
パイロット信号キャリアリーク |
WIDE |
-48 |
-48 |
dB |
オーディオ出力レベル偏差 (MONO) |
WIDE |
0 |
+0.01 |
dB |
REC CAL |
WIDE |
-8.06
457.0 |
-8.02
457.0 |
dB
Hz |
使ってみました
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FM
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聴いた瞬間に高音質と判る良い音
です。
PLL 検波らしい、スッキリした解像度感のある音です。
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IC402, IC403 が OPA2604AP (BURR-BROWN) に変更されているためか、オリジナルより更に解像感がある音です。
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AM
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感度が高く、S/N も良いです。
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音質は AM としては普通レベルです。