Kenwood KT-2020 (2号機)

Kenwood KT-2020 (2号機) をゲット！

• 2009年11月25日、 TRIO KT-900 修理のお駄賃として、PLL シンセサイザー FM/AM チューナー Kenwood KT-2020 の不動品をいただきました。
  
  
• いただく気になったのは、動作しないことです。 こう聞くとどうしても修理したくなるのです ・・・ たぶん病気でしょう。
  
  
• 初期チェックした結果です
  
  
  1. 全体にかなり綺麗で美品です
     
     
     • フロントパネルは無傷でサビの発生もありません。 綺麗です。
       
       
     • 天板で薄い擦り傷は多数ありますが致命的なものはないです。 ヘコミもないです。
       
       
  2. 電源は入りました
     
     
     • 操作ボタンやチューニングダイヤルはちゃんと動作します。
       
       
     • FM 受信は全くできません。
       
       
     • AM 受信は問題なくできました。
       
       
  3. 蛍光パネル表示に問題あり
     
     
     • [FM] [.] 表示など一部表示しない箇所があります。
       
       
     • AM 受信の千の桁の表示が若干薄いです。
       
       

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調査＆修理

• FM 受信不可の調査＆修理
  
  
  1. こういう現象は VT 電圧の異常が多いです。
     
     
     • VT 電圧を測定してみると周波数表示を変えても 30.06V のままです。
       
       
     • 「FM OSC が発振していない」か「PLL 回路で FM OSC 周波数取得回路が動作していない」のいずれかと思われます。
       
       
  2. FM OSC 周波数取得回路が不具合でした
     
     
     • 「FM OSC は発振している」が、「PLL 回路で FM OSC 周波数取得回路が動作していない」と判りました。
       
       
     • FM OSC 周波数取得回路を更に詳しく調査すると、OSC 発振周波数をカウントデバイドして PLL サンプル周波数を作成するプリスケーラ IC [Toshiba TD6104P] の電源パスコンである、電解コンデンサ C36 47uF 10V の内部短絡と判明しました。
       
       
     • 「TD6104P の電源電圧が0V＝回路ダウン」ですから、出力は 0Hz に等しい → PLL 比較回路は OSC 発振周波数を上げようと VT 電圧を上げる指示をします → 回路的に VT 電圧は 30V 付近までしか上がらない ・・・ で現象と合います。 これが原因に間違いないです。
       
       
  3. C36 47uF 10V → 47uF 16V に交換して直りました。 バリバリ FM 受信できるようになりました。 写真が不良だった電解コンデンサです。
     
     
     • たまたまかもしれませんが、KENWOOD チューナーでこの電解コンデンサの内部短絡事故は多いです。 今回で4回目くらいと思います。
       
       
     • この頃の ELNA (M) 電解コンデンサの製造不良かもしれません。 既に製造後25年以上経過しているので、時効とは思いますが・・・
       
       
• 蛍光パネル表示で一部表示不良の調査＆修理
  
  
  1. 表示パネルと基板間の半田クラックと判明しました。
     
     
  2. 半田クラックを手直しして直りました。
     
     
• その他の修理
  
  
  1. 目視チェックすると、電源回路の大き目の電解コンデンサが液漏れしていました。
     
     
  2. 以下の電解コンデンサを手持ち品と交換しました。 手持ちの関係で C14 の代替品がオーバースペックになってしまいました。
     
     
     • C13 2200uF 25V → 2200uF 25V に交換
     • C14 1000uF 25V → 1000uF 63V に交換
     
     
  3. 特に C13 は交換しようとちょっと触っただけでリード足がポロリと取れたので、容量ゼロになっていた可能性大です。 よく KT-2020 が動いていたと感心します。 右の写真が交換した電解コンデンサです。 特に左側の茶色のものは漏れた電解液で表面がボコボコになるほど腐食しているのが判ると思います。
     
     
  4. 電解コンデンサ交換後、聴き違えるほど低域が豊富になりました。
     
     

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再調整結果

1. KT-2020 (1号機) に記載の手順で再調整しました。
   
   
2. FM ステレオセパレーションは 以下となりました。 良好な数値です。
   
   

   項目	IF BAND	L	R	単位
   ステレオセパレーション	WIDE	65	65	dB
   ステレオセパレーション	NARROW	60	60	dB
   パイロット信号キャリアリーク	WIDE	-70	-73	dB
   オーディオ出力レベル偏差 (MONO)	WIDE	0	0.00	dB
   REC CAL 信号	-	-6.47 410.2	-6.47 410.2	dB Hz

   
   

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使ってみました

• さすが KT-2020 です。 FM の感度と妨害電波排除能力は素晴らしく良いです。
  
  
• FM の音質は、Hi-Fi 調で、シャッキリとした高音域が特長です。 ハッとするような素晴らしくクリアな音 です。
  
  
• AM IF BAND が WIDE の音質はかなり良いです。 感度も良いです。
  
  

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