Technics ST-G90

Technics ST-G90 をゲット!

2007年12月14日、 Technics ST-G90 を寄贈していただきました。 PLL シンセサイザー FM/AM チューナーで、1988年9月発売開始モデルで、定価59,800円です。

従来の Technics らしくない精悍なスタイルです。



早速、程度&動作チェック

  1. 外観

  2. 電源 ON でチェック



カバーを開けてみました

  1. 作りは良いです。 写真をクリックすると拡大写真を表示できます。

  2. FM フロントエンドの構成が凄い!

  3. IF 部はユニフェーズ CF×5個も使っています。 IF アンプには AN278×3個や差動アンプ構成トランジスタなど、これも豪華です。

  4. FM 検波部は PLL 検波です。 PLL 発振部は金属シールドされています。 位相検出&検波はバランスド検波です。 PLL 帰還回路には FET による歪補正回路が入っています。 高級仕様です。

  5. MPX 部は IC302 + NEC uPC1223C となっており、L/R 別々にセパレーション調整できます。

  6. AM は2連バリキャップ構成です。 AM 用 RF 部や IF の IC が見当たりません。 おそらく基板裏に面付けされている IC103 でしょう。 この IC は FM 同調点の検出にも使われているようです。



調整

写真の FM/AM 標準信号発生器 Panasonic VP-8175A (以下 SSG)、 FM Stereo 信号発生器 MEGURO MSG-2170、 周波数カウンタ ADVANTEST TR5822 を使って調整します。 10年も経つとコイルやトリマはズレます。

  

  1. FM 受信部の調整

    手順 SSG周波数 SSG出力 ST-G90 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - - BAND : FM
    REC LEVEL : OFF
    RF BAND : NARROW
    IF BAND : NARROW
    - -  
    2 83MHz 変調 : OFF
    出力 : 90dB
    83MHz 受信 T101 TP101〜TP102 間電圧 = 0V±20mV FM 同調点の調整
    3 89.9MHz - 89.9MHz 受信 フロントエンド内
    OSC コイル
    R2 のリア側電圧 = 11.0V VT high
    4 76.1MHz - 76.1MHz 受信 - R2 のリア側電圧 = 2.5V VT low
    確認のみ
    5 83MHz 変調 : OFF
    出力 : 30dB
    83MHz 受信 フロントエンド内
    RF コイル×3
    VR103 電圧 = 最大 RF WIDE 調整
    6 76.1MHz 変調 : OFF
    出力 : 30dB
    76.1MHz 受信 L1, L2, L4 VR103 電圧 = 最大  
    7 89.9MHz 変調 : OFF
    出力 : 30dB
    89.9MHz 受信 CT1, CT2, CT3 VR103 電圧 = 最大  
    8 - - - - 手順6〜7を数回繰り返す RF トラッキング調整
    9 83MHz 変調 : OFF
    出力 : 30dB
    83MHz 受信 フロントエンド内
    IFT
    VR103 電圧 = 最大 IF 調整
    10 83MHz 変調 : OFF
    出力 : 30dB
    83MHz 受信 T104 VR103 電圧 = 最大 IF NARROW 調整
    11 83MHz 変調 : OFF
    出力 : 40dB
    IF BAND : WIDE/NARROW
    83MHz 受信
    VR105 レベル表示 = WIDE/NARROW で同一 IF NARROW ゲイン調整
    12 83MHz 変調 : OFF
    出力 : 90dB
    83MHz 受信 T102 R146 の T102 側波形 = 最大 FM PLL 検波調整 (1)
    シンクロスコープで観測
    13 83MHz 変調 : OFF
    出力 : 90dB
    83MHz 受信 T103 TP105〜TP106 間電圧 = 0V±10mV FM PLL 検波調整 (2)
    NULL 調整
    14 83MHz 変調 : 1kHz 100%
    出力 : 90dB
    83MHz 受信 VR101 オーディオ出力 = 高調波歪最小 FM PLL 検波調整 (3)
    モノラル高調波歪調整
    15 83MHz 変調 : OFF
    出力 : 30dB
    83MHz 受信 VR103 シグナル表示 = 30dB  
    16 83MHz 変調 : OFF
    出力 : 60dB
    83MHz 受信 VR102 シグナル表示 = 60dB  
    17 83MHz 変調 : OFF
    出力 : 90dB
    83MHz 受信 VR101 シグナル表示 = 90dB  
    18 - - - - 手順15〜17を数回繰り返す  
    19 - - BAND : FM
    REC LEVEL : OFF
    RF BAND : WIDE
    - -  
    20 83MHz Pilot 信号 : OFF
    変調 : OFF
    出力 : 90dB
    IF BAND : WIDE
    83MHz 受信
    VR302 TP301 周波数 = 19kHz±50Hz VCO フリーラン周波数
    21 83MHz Pilot 信号 : ON
    変調 : OFF
    出力 : 90dB
    IF BAND : WIDE
    83MHz 受信
    VR301 オーディオ出力電圧 = 19kHz 成分最小 パイロットキャンセラー調整
    22 83MHz Pilot 信号 : ON
    変調 : L-R, 1kHz 100%
    出力 : 90dB
    IF BAND : WIDE
    83MHz 受信
    フロントエンド内
    IFT
    オーディオ出力 = 高調波歪最小 IF WIDE
    ステレオ高調波歪調整
    23 83MHz Pilot 信号 : ON
    変調 : L-R, 1kHz 100%
    出力 : 90dB
    IF BAND : NARROW
    83MHz 受信
    T104 オーディオ出力 = 高調波歪最小 IF NARROW
    ステレオ高調波歪調整
    24 83MHz Pilot 信号 : ON
    変調 : R only, 1kHz 100%
    出力 : 90dB
    IF BAND : WIDE
    83MHz 受信
    VR303 L ch. オーディオ出力電圧 = 最小 セパレーション調整
    25 83MHz Pilot 信号 : ON
    変調 : L only, 1kHz 100%
    出力 : 90dB
    IF BAND : WIDE
    83MHz 受信
    VR304 R ch. オーディオ出力電圧 = 最小 セパレーション調整
    26 - - - - 手順24〜25を数回繰り返す  

  2. AM 受信部の調整

    手順 SSG周波数 SSG出力 ST-G90 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - - BAND : AM - - AM ループアンテナを接続する。
    SSG 出力は10kΩ抵抗を介して EXT から注入する。
    2 1629kHz - 1629kHz 受信 L204 R2 のリア側電圧 = 8.3V VT high
    3 522kHz - 522kHz 受信 - R2 のリア側電圧 = 1.8V VT low
    確認のみ
    4 603kHz 変調 : OFF
    出力 : 60dB
    603kHz 受信 L203 R203 の IC103 側波形 = 最大 シンクロスコープで観測
    5 1395kHz 変調 : OFF
    出力 : 60dB
    1395kHz 受信 CT201 R203 の IC103 側波形 = 最大 シンクロスコープで観測
    6 - - - - 手順4〜5を数回繰り返す RF トラッキング調整
    7 603kHz 変調 : OFF
    出力 : 60dB
    603kHz 受信 T201 R203 の IC103 側波形 = 最大 IF 調整
    シンクロスコープで観測



使ってみました

  1. フロントパネルは黒のアルミヘヤライン、スイッチ類もほぼ全部アルミ材使用と高級感あります。

  2. 機能

  3. アンテナ端子

  4. 性能や音質



仕様その他

  1. ブロック図

  2. 仕様は以下です。 7連バリキャップなので、 妨害波排除能力は全て 130dB とものすごい数値 です

    FM チューナー部  
    受信周波数範囲 76.1〜89.9MHz
    実用感度 (75Ω) mono : 0.9uV/10.3dBf
    S/N 比 50dB 感度(75Ω) mono : 2.2uV/18.1dBf
    stereo : 22uV/38.1dBf
    歪率 mono : 0.009%
    stereo : 0.015%
    ダイナミックレンジ 112dB
    周波数特性 4Hz〜18kHz +0.2, -0.5dB
    実効選択度 normal : 55dB(±400kHz)
    super narrow : 30dB (±200kHz)
    キャプチャーレシオ 1.0dB
    イメージ妨害比 (83MHz) 130dB
    IF 妨害比 (83MHz) 130dB
    スプリアス妨害比 (83MHz) 130dB
    AM 抑圧比 55dB
    ステレオセパレーション 70dB (1kHz), 57dB (10kHz)
    リークキャリア (19kHz) -70dB
    アンテナインピーダンス 75Ω不平衡型
    AM チューナー部  
    受信周波数範囲 522〜1629kHz
    実用感度 (S/N 20dB) 20uV、290uV/m
    選択度 50dB
    イメージ妨害比 40dB
    IF 妨害比 40dB
    総合  
    電源 AC100V, 50/60Hz
    定格消費電力(電気用品取締法) 9.0W
    外形寸法 430(W)×94(H)×282(D)mm
    重量 3.1kg
    その他  
    発売時期 1988年9月
    定価 59,800円