SONY ST-S555ES

SONY ST-S555ES がやってきた!

2013年3月21日、埼玉県白岡市の T さんから SONY ST-S555ES を借用しました。

FM 専用機で定価65,000円のやや高級なチューナです。 ST-S333ES シリーズのご先祖さまのような機種です。

早速、外観&動作チェックしました。

  1. ハッキリ言ってボロボロです。 あちこちキズと錆だらけです。 脚が1個外れています。 完全なジャンク品です。

  2. FL 表示器にムラがあり、寿命に近づいているようです。

  3. 同調を MANUAL にしないと S メータが振れません。 当然、AUTO スキャン同調はできません。 同調点調整が大きくズレているようです。

  4. STEREO になりません。 原因は 3 と同じと思います。

  5. MANUAL 同調ではオーディオ出力端子から音が出ますが、蚊の鳴くような極小音量です。

  6. カバーの隙間から内部を覗くとゴミだらけです。 基板にこんもりと埃が堆積しています。



カバーを開けてみました

  1. 基板は部品が整然と並んでいて綺麗です。 基板材質はベーク板です。 写真をクリックすると拡大写真を表示できます。

  2. 電源トランスはシッカリ磁気シールドしています。

  3. 底板部分に点検用蓋板があり、メンテナンス性が良いです。

  4. FM フロントエンドは5連バリキャップ方式で、以下の構成です。


  5. FM IF 部は以下の構成です。

  6. FM 検波方式はレシオ検波です。

  7. FM MPX 部は PLL MPX の NEC uPC1223C で構成しています。

  8. FM 同調点の検出は SANYO LA1235 で行います。

  9. FM PLL 同調制御はダイレクトコンパレータの SONY CX778A で行います。

  10. プリセットメモリ記憶は不揮発性メモリの SONY CX761A で行います。

  11. S メータ専用 IF 回路があって、リニアな S レベルを抽出します。 この辺りは高級機並みです。

  12. 使用 IC のロット番号より、この ST-S555ES は1982年製と判明しました。 電源ケーブルの製造マーキングは1981年でした。



ACT ケーブル

  1. ST-S555ES のオーディオ出力端子は電流出力となっており、専用4P コネクタです。 通常の RCA 端子はありません。

  2. ボックスの中身はこれだけです。

  3. ACT ケーブルの回路図です。



リペア

  1. 脚が1個外れている。

  2. オーディオ出力から極小音量しか出ない。

  3. MUTING OFF では S メータが振れるが、MUTING ON では振れない。 AUTO SCAN できない。

  4. マトモに音が出るようになってから判明したのですが、右チャンネルに MUTING がかからない。

  5. ANTENNA B で感度が低い。

  6. 基板に大量のゴミが堆積している。



調整

写真の FM/AM 標準信号発生器 Panasonic VP-8175A (以下 SSG)、 FM Stereo 信号発生器 MEGURO MSG-2170、 周波数カウンタ ADVANTEST TR5822 を使って調整します。 10年も経つとコイルやトリマはズレます。

  

  1. 受信部調整

  2. S メータ調整

  3. 各種レベル調整

  4. 再調整結果



使ってみました



仕様その他

  1. Service Manual

  2. 仕様は以下です。

    FM チューナー部  
    受信周波数範囲 76〜90MHz
    アンテナ端子 F 端子/75Ω×2系統
    中間周波数 10.7MHz
    S/N 比 50dB 感度 mono:1.8μV (IHF) / 16.8dBf (新 IHF)
    stereo:22.5μV (IHF) / 37.9dBf (新 IHF)
    実用感度 0.9μV (IHF) / 10.3dBf (新 IHF)
    高調波歪率 mono/wide:0.03%(100Hz)
    mono/wide:0.03%(1kHz)
    mono/wide:0.03%(10kHz)
    mono/narrow:0.05%(100Hz)
    mono/narrow:0.05%(1kHz)
    mono/narrow:0.05%(10kHz)
    stereo/wide:0.05%(100Hz)
    stereo/wide:0.04%(1kHz)
    stereo/wide:0.12%(10kHz)
    stereo/narrow:0.07%(100Hz)
    stereo/narrow:0.06%(1kHz)
    stereo/narrow:0.15%(10kHz)
    混変調歪率 mono/wide:0.03%
    mono/narrow:0.05%
    stereo/wide:0.04%
    stereo/narrow:0.06%
    周波数特性 30Hz〜15kHz +0.2 -0.5dB
    ステレオセパレーション 55dB(100Hz)
    60dB(1kHz)
    45dB(10kHz)
    実効選択度 (400kHz) wide:60dB
    narrow:90dB
    キャプチャーレシオ 1.0dB
    AM 抑圧比 65dB
    イメージ妨害比 120dB
    IF 妨害比 120dB
    スプリアス妨害比 120dB
    RF 相互変調妨害比 88dB(IHF)
    105dB(2.4MHz)
    キャリアリーク抑圧比 78dB
    ミューティングレベル 25dBf
    オートチューニングレベル 25dBf
    オーディオ出力 750mV/620Ω(付属ACTケーブルにより電圧変換後)
    電源電圧 AC100V, 50/60Hz
    消費電力 23W
    外形寸法 430(W)×80(H)×340(D)mm
    重量 4.8kg
    付属品 @ FM リボンアンテナ
    A F 型アンテナコネクタ
    B アンテナコネクタ EAC-25(300Ω→75Ω)
    C 局名表示ラベル
    D ACT ケーブル
    その他  
    発売時期 1982年
    定価 65,000円