Victor T-G90

Victor T-G90 をゲット!

2014年1月4日、 ハードオフ 草加瀬崎店で Victor T-G90 というタイマー付き FM/AM チューナが税込525円でした。 とても綺麗な逸品だったのですが、安いのには理由があり、ショップのコメントは「受信できませんでした。」でした。

タイマー付きなので、表示部の劣化が心配です。 ショップの方の了解を得て電源を入れると、表示部の劣化は感じませんでした。 しかも「受信できませんでした。」のコメントが非常に魅力的に感じて(修理するエクスタシーな楽しみがある。)買ってしまいました。



早速、程度&動作チェック

  1. 外観

    • ほぼキズなしの逸品です。 中古なので、よくよく見ると僅かなスリキズ程度はありますが、全く目立ちません。 奇跡的な逸品です。

      • かなり丁寧に使われていたと思われます。 おそらく、ハードオフに来るまではワンオーナと確信しました。

    • [FREQ/dB] ボタンが陥没しています。 修理で直ると思います。

    • FL 表示部のアクリルパネルにススのような汚れがあります。 清掃で復帰するでしょう。

    • リアパネルの [GND] 端子が若干歪んでいます。 これは手直しで元に戻るでしょう。

  2. 入手した状態のまま電源 ON してチェックしました

    • [POWER] ボタンはハードスイッチ(AC100V をダイレクトに ON/OFF)ではなく、ソフトスイッチ(トランジスタにて2次側 DC 電源を ON/OFF)です。 電源は正常に ON できました。

    • FL 表示器の劣化は橙色の周波数表示に関しては感じないです。 [MEMORY] などの赤色表示は薄いです。

    • FM 受信は、[AUTO/MONO] ボタンで MONO にすると、ちゃんと受信できました。 おそらく、同調点がズレているだけと思います。

      • このチューナはデフォールトでは AUTO になるようで、ショップのコメントはこの AUTO での結果と思われます。

    • AM 受信は、問題なく正常に受信できました。

    • 時計&タイマー機能は正常そうです。

    • プリセットメモリのバックアップバッテリは問題なく活きていました。



カバーを開けてみました

  1. 内部の作りは良好です。 写真をクリックすると拡大写真を表示できます。

  2. IC を使用して合理化が図られています。


  3. FM フロントエンド

  4. FM IF 部

  5. FM 検波部

  6. FM MPX 部

  7. AM 受信部



リペア

  1. [FREQ/dB] ボタンの陥没と FL 表示部アクリルパネルの汚れ

  2. リアパネルの [GND] 端子の歪み

  3. 同調点ズレ



調整

写真の FM/AM 標準信号発生器 Panasonic VP-8175A (以下 SSG)、 FM Stereo 信号発生器 MEGURO MSG-2170、 周波数カウンタ ADVANTEST TR5822 を使って調整します。 10年も経つとコイルやトリマはズレます。

  

  1. 電圧チェック

    電圧 TP 実測値 備考
    +12V Q801-E +12.6V チューナ
    +5V Q807-E +5.5V MCU

  2. FM 受信部の調整

    手順 SSG周波数 SSG出力 T-G90 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - - Band : FM
    AUTO/MONO : MONO
    - -  
    2 - - 90MHz 受信 L104 TP004電圧 = 8.5V VT High
    3 - - 76MHz 受信 - TP004電圧 = 1.8V VT Low, 確認のみ
    4 76MHz 30dB
    変調 : OFF
    76MHz 受信 L101
    L102
    L103
    S メータ表示 = 最大  
    5 90MHz 30dB
    変調 : OFF
    90MHz 受信 TC101
    TC102
    TC103
    S メータ表示 = 最大  
    6 - - - - 手順4と5を数回繰り返す RF トラッキング調整
    7 83MHz 30dB
    変調 : OFF
    83MHz 受信 T101 S メータ表示 = 最大 IF 調整
    8 83MHz 90dB
    変調 : MONO 1KHz
    83MHz 受信 T201 左コア オーディオ出力 = 高調波歪率最小  
    9 83MHz 90dB
    変調 : MONO 1KHz
    83MHz 受信 T201 右コア TP002電圧 = 0V  
    10 - - - - 手順8と9を数回繰り返す QR 検波調整
    11 83MHz 90dB
    PILOT 信号 : ON
    AUTO/MONO : AUTO
    83MHz 受信
    R424 STEREO ランプ点灯の中間点に設定 MPX VCO 調整
    12 83MHz 90dB
    変調 : R/L ch. only 1kHz
    83MHz 受信 R404 L/R ch. オーディオ出力電圧 = 最小 セパレーション調整
    13 83MHz 60dB
    変調 : OFF
    83MHz 受信 R230 S メータ表示 = 60dB S メータ調整

  3. AM 受信部の調整

    手順 SSG周波数 SSG出力 T-G90 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - - Band : AM - -  
    2 - - 522kHz 受信 L302 TP004電圧 = 1.3V VT Low
    3 - - 1611kHz 受信 TC302 TP004電圧 = 8.4V VT High
    4 - - - - 手順2と3を数回繰り返す OSC トラッキング調整
    5 603kHz 40dB 603kHz 受信 L301 S メータ表示 = 最大  
    6 1404kHz 40dB 1404kHz 受信 TC301 S メータ表示 = 最大  
    7 - - - - 手順5と6を数回繰り返す RF トラッキング調整
    8 999kHz 40dB 999kHz 受信 T303 S メータ表示 = 最大 IF 調整
    9 999kHz 60dB 999kHz 受信 R229 S メータ表示 = 60dB S メータ調整

  4. 調整結果

    1. ステレオセパレーションは良好です。

    2. その他の数値も良好です。

      項目 L R 単位
      ステレオセパレーション 50 50 dB
      パイロット信号キャリアリーク -70 -70 dB
      オーディオ出力レベル偏差 (MONO) 0 +0.14 dB
      REC CAL 316.4
      -6.2
      316.4
      -6.2
      Hz
      dB



使ってみました

  1. 小気味良いデザイン

  2. 機能関連

  3. リアパネルの端子

  4. 受信性能&音質



時計とタイマの設定方法

  1. 時計の時刻設定方法

    1. [PROGRAM]→[TIME ADJ] ボタンを押す。

    2. [SUN]〜[SAT] ボタンで曜日を選ぶ。

    3. [AM] [PM] ボタンで AM/PM を選ぶ。

    4. [1]〜[0] ボタンで時刻を入れる。 例えば、9:45 にしたい場合は連続して [9] [4] [5] ボタンを押す。

    5. [NEXT] ボタンを押すと設定完了。

  2. スリープタイマ

  3. プログラムタイマ



仕様