Victor T-X900

Victor T-X900 が転がり込んできた!



早速、動作チェック



カバーを開けてみました

  1. 基板は二階建て構造で、このためにメンテナンス性が悪いです。 写真をクリックすると拡大写真を表示できます。

  2. FM フロントエンド部は4連バリキャップ方式です。 オール FET 構成で、アンテナ入力段は 3SK97 というガリウム砒素 FET、ミクサー部は 3SK73 というデュアルゲート FET、同調回路はトラッキング調整できる構成です・・・T-X500 のほうが上です。 (5連バリキャップでシールドが厳重。)

  3. IF 部はユニフェーズ CF フィルター3段+LA1235 です・・・T-X500 より上です。

  4. 検波部は LA1235 によるクオードラチュア検波です・・・T-X500 と同じです。

  5. MPX 部は uPC1223C、パイロット信号キャンセラーは LC 構成です・・・T-X500 と同じくらいです。

  6. 2〜5のようにごく普通の構成です。 SONY や KENWOOD にあるような直線性改善回路の導入もありません。

  7. AM 受信部は LA1245 で全てを行っています。 2連バリキャップのフロントエンド構成です。

  8. IC を使用して合理化が図られています。




修理

  1. スーパーキャパシタ C537 0.022F/5.5V が容量抜けしていたので手持ちの 0.22F/5.5V と交換しました。

  2. 二階建ての二階部分の基板で、あちこちにスルーホールの半田クラックがあったので全面的に手直ししました。 スルーホールの導通材にハトメを使っているため、半田の乗りが悪く、経年変化でクラックに至ったと思います。

  3. 上記の修理をするには二階部分の基板を外さないといけないのですが、こうするためにはフロントパネル部分をバラバラに分解する必要があり、かなりの時間がかかりました。 メンテナンス性はかなり悪いです。 故障しないことが前提の作りです・・・これだからメーカーで修理を受け付けてくれないのだと思います。



調整

写真の FM/AM 標準信号発生器 Panasonic VP-8175A (以下 SSG)、 FM Stereo 信号発生器 MEGURO MSG-2170、 周波数カウンタ ADVANTEST TR5822 を使って調整します。 10年も経つとコイルやトリマはズレます。

  



使ってみました



仕様

FM チューナー部  
受信周波数 76.0 〜 90.0MHz
50dB クワイティング感度 mono:1.8μV、16.3dBf(75Ω)
stereo:38.1dBf(75Ω、QSC Auto)
実用感度(75Ω) 0.95μV、10.8dBf
S/N 比 mono:88dB
stereo:82dB
全高調波歪率(1kHz) mono:0.04%
stereo:0.06%
キャプチャーレシオ(IHF) 1.0dB
実効選択度(IHF) Wide : 30dB
Narrow : 90dB
イメージ妨害比(IHF) 80dB
AM抑圧比(IHF) 65dB
ステレオセパレーション(1kHz) 60dB
周波数特性 30Hz〜15kHz +0 -0.6dB
アンテナ入力インピーダンス 75Ω不平衡型
出力信号レベル 600mV/2.2kΩ
REC CAL 出力レベル FM 50% 変調相当(約333Hz)
AM チューナー部  
受信周波数 522 〜 1611kHz
実用感度 300μV
SN比 55dB
全高調波歪率 0.3%
選択度 50dB(±9kHz)
イメージ妨害比 40dB
IF 妨害比 65dB
出力信号レベル 200mV/2.2kΩ
総合  
電源電圧 AC100V 50/60Hz
消費電力(電気用品取締法基準) 11W
外形寸法 (幅×高さ×奥行) 435×77×298mm
重量 3.8kg
その他  
発売時期 1983年
定価 64,800円