corega CG-3SGTR

corega CG-3SGTR

デジタルラジオの現状（2008年1月現在）

そう言えば、デジタルラジオが2006年に本放送開始だったな・・・チューナーにどんな製品があるのだろう？？？・・・と思って調べてみました。
1. 社団法人デジタルラジオ推進協会のホームページを見ると「2011年以降の全国展開をめざします。」と書かれています。あれー？本来ならもう本格放送開始されていなければならないのに？？？　それと「2011年以降」が気になります・・・まだ決まっちゃいないの？？？　2011年以降だから3000年でも当てはまります・・・これって無期延期ということじゃ？？？
2. とっくの 2006年末に計画が頓挫していたようです。現状、全てが白紙状態です。「2011年以降」は希望であって確約ではないのです。
3. 問題は本放送での電波の周波数割り当てがハッキリしていない（少なくとも現在の周波数から変わる。）、こいうことから「これ以上の投資は体力が続かない」と一部民放が離脱したこと。これじゃ、いったいいつになったら本放送がスタートできるかわかりません。
と言うことで、現在、ラジオかチューナーの形をした製品が存在しません。メーカーのほうも製品化してから周波数が変更されたらたまりませんから。 USB スティック型アダプタだけが製品として販売されています・・・これだって、周波数が変更されたら使えなくなってしまうかも？・・・当然、消費者は買わない（買えない）・・・いつになってもデジタルラジオは盛り上がらない・・・ひょとしたら中止になるかも？？？
現在の実用化試験放送（東京）のスペックは以下です。
- 東京タワーより 2.4kW で送信しています。
- 使用周波数は、現在のアナログテレビの第7チャンネル帯（190.214286MHz を中心とした約 4MHz 帯）です。よって VHF です。この帯域を8セグメントに分割して各放送局に割り当てています。
- 規格は地上波移動体向けの ISDB-TSB (Integrated Services Digital Broadcasting for Terrestrial Sound Broadcasting) です。
  - 1セグメントの帯域幅は430kHz、移動体に適した変調方式を用いた場合の伝送速度は280kbps
  - 放送は1または3セグメントを使用します・・・ですから、デジタルラジオは3セグとも呼ばれます
  - 音声圧縮方式は MPEG-2 AAC+SBR
  - 映像圧縮方式は AVC H.264
- 音声圧縮に MPEG2 AAC+SBR 方式を用いることで、AAC 方式の倍の圧縮率で同等の音質を再現できます。
- CD 並み音質と謳ってはいますが MP3 のような圧縮音声です。 ちょっとガッカリですね！ ・・・これだったらインターネットラジオより放送内容と安定度が良いことしかメリットがありません。

地上デジタル放送とセグメント

セグメントの概念
- テレビの1チャンネルあたりの帯域幅は 6MHz ですが、隣のチャンネルの局と混信を避けるため、実際に使うのは 5.572MHz です。
- この 5.572MHz を 429kHz ずつ13個に分け、それぞれの1個を セグメント と呼びます。
地上デジタルテレビとワンセグの関係
- 地上デジタルテレビ では、ハイビジョン放送は12セグメント、SD 放送（普通の場合）は4セグメント使います。
- 1チャンネルあたり13セグメントあるので、ハイビジョン放送なら1番組、SD 放送なら3番組放送することが可能です。どちらにしても、必要なのは12セグメント分で1セグメント余ります。そこで、余った1セグメントで移動端末向けのテレビ番組を放送するのが ワンセグ です。
デジタルラジオと3セグの関係
- 実証試験放送での デジタルラジオ は、テレビの7チャンネル（帯域幅 4MHz, VHF）の周波数を8個のセグメントに分けています。音声主体なら1セグメントあれば放送できます。なぜテレビと同じ帯域幅 6MHz を使わないのか？と疑問に感じた方がいらっしゃると思います。これは、調べてもらえば判りますが、テレビのチャンネルプランでは7チャンネルと8チャンネルの周波数に重複があるからです。 8チャンネルに既に放送がある場合（東京・大阪）は188～192MHz 間の 4MHz しか使えないのです。
- 実証試験放送では以下となっています。
  - 東京では、1セグメント放送×5 ＋ 3セグメント放送×1
  - 大阪では、1セグメント放送×8
- この「3セグメント放送」を 3セグ と呼びます。デジタルラジオが別名「3セグ」とも呼ばれるのは、こういう訳です。

corega CG-3SGTR をゲット！

現在、本放送がいつになるのか白紙状態に戻ったデジタルラジオですが、文句ばっかり言っていても仕方ない、実用化試験放送を少しでも楽しもうと、デジタルラジオアダプタを買うことにしました。 USB スティック型ワンセグ TV アダプタは多数ありますが、この中でデジタルラジオに対応しているのは僅かです。現在（2008年1月）、家電量販店で販売されている製品は以下です。
2008年1月19日、ヤマダ電機三郷店で製品比較したのですが、 外部アンテナ付き の corega CG-3SGTR が良さそうに思いました。これは、自宅の越谷は東京タワーからの実用化試験放送のサービスエリアの北限にあたる場所だから、電波弱そう！と思ったからです。東京から 30km 圏くらいがサービスエリアで、越谷は 22km です。越谷市はＯＫですが、隣の春日部市（クレヨンしんちゃんが住んでいるという。）はＮＧです。
結果、 「これテレ」 の corega CG-3SGTR を税込7,980円で買いました。（定価は税込11,025円です。）ワンセグ TV 機能はどうでもよいのですが、デジタルラジオを受信したくての購入です。チト高いですが、 デジラジ 先駆者になるためには、これくらいの出費を惜しんではいけません。たまたま、ソフトバンク携帯電話の友人紹介キャンペーンでもらった10,000円があったし・・・
巷の電網情報によると、CG-3SGTR は受信ブースター内蔵＆外部アンテナのおかげで感度が良いそうです。
デジタルラジオの実用化試験放送は東京と大阪だけですから、受信できるエリアに居る人、受信機を持っている人は僅かだと思います。 だから価値がある のです。
投資金が8,000円弱で少なくとも3年は楽しめます。月額200円と考えれば安いものです。

使ってみました

USB スティック型アダプタなので、パソコンに対応ドライバーとサポートソフトをインストールしないと動作しません。当然ながらパソコンも動作させる必要がある訳です。私はパソコン操作する時はラジオ放送を流し放しにするという「ながら族」ですから、とりあえずは支障ありません。ラジオを聴いている時はパソコンも動作していますから。
説明書通り Windows-Xp デスクトップパソコンにソフトをインストールしました。簡単にインストールできました。 CG-3SGTR を USB ポートに突っ込むと動作可能になりました。
サポートソフトは「ワンセグ TV」用と「デジタルラジオ」用の2種類ありました。
まずは動作確認を兼ねてワンセグTVから・・・
「ワンセグ TV」用ソフトを立ち上げて放送局サーチさせると、自動的に放送局リストが出来上がりました。放送局名や番組表と一緒に TV 画面が出ました・・・パチパチパチ・・・楽ですね。
次にデジタルラジオを・・・
「ありゃ？」放送局サーチさせても全く放送局が見つかりません。標準アンテナでは受信不可でした。そこで添付されていた外部アンテナをつないで再サーチすると、実用化試験放送されている10局全てが検出されました・・・パチパチパチ・・・良かった！
付属の外部アンテナはそのままでは自立しません。足元がマグネットになっているので、お菓子の缶などを基台にして、その上にアンテナを乗せるとうまく自立します。付属品に吸盤式アンテナ基台もあるので、都合の良いほうを使えばよいです。
研究室には北側と東側に窓がありますが、電波が飛んでくる南側には窓がありません。そこで東側窓付近の室内に外部アンテナを設置しました。

実用化試験放送とは言いながら10局以上の局数です。一部の放送局ではインターネット音楽配信もしているので、どんな放送か聴いてみることができます。我が家では既に光ファイバーによるインターネット配信でテレビを観ています。これと同じで、何も電波にこだわる必要はなく、デジタルラジオだってインターネット配信で良いのです。電波が必要なのは移動端末だけでしょう。

チャンネル	放送局	運営	備考
9101	NHK	NHK
9102	ハマセグ digitalBay	FM YOKOHAMA BayFM	ジャズ専門
9202	OTTAVA	TBS ラジオ	クラシック専門
9301	UNIQue the RADIO	文化放送
9302	超！A&G+	文化放送
9401	DIGIPICO！	伊藤忠商事
9501	Suono Dolce	ニッポン放送	簡易動画放送あり
9502	JOLF+	ニッポン放送	常時放送休止中 (2008年1月現在)
9701	ENERGY 701	TOKYO FM	アグレッシブライフスタイルチャンネル・ワンセグと同程度の動画放送あり・情報窓には流れている音楽の解説を表示
9702	MAGIC 702	TOKYO FM	ハイクオリティチャンネル
9703	NEWS 703	TOKYO FM	ニュースチャンネル

OTTAVA（オッターバ）が特にヨロシイ！

クラシック音楽を一日中聴いていることができます。どちらかと言うと名曲の中でも聴きどころだけを流している・・・感じです。音も良いです。 BGM としてグッド！です。
インターネット音楽配信もしているので、ぜひお聴きください。コーディックは「Windows Media Audio 9.2 64 kbps, 48 kHz, stereo 1-pass CBR」となっています。

まずは、デジタルラジオを受信できて感激しました。 大昔に初めて FM 放送を聴いた時の感動と同じ です。
当たり前かもしれませんが、貧弱なアンテナにも関わらず、ノイズは全くありません。音質やステレオ分離度も良いです。 Hi-Fi かと言うと、まあそうです・・・圧縮音声ですから純粋 Hi-Fi とは違うような・・・
デジタルラジオの放送内容はアナログ放送をそのまま再放送しているのではなく、全く違う オリジナル放送 です・・・聴く価値があります。そして、大昔の初期の FM 放送のように音楽がほとんどで、お喋りは時々しか入りません。ず～と音楽ばかり聴いていられます。これがイイのです。
私は 外部アンテナ→CG-3SGTR→ Dell Dimension 4600C → SONY SRS-Z1 というちょっとだけマトモな機器で聴いています。
ソフト再生のためか、パソコンの負荷が高くなると音が一瞬途切れたりすることがあります。これはデータバッファ容量を増やすなど、サポートソフトの改善を期待したいです。
デジタルラジオを受信している時は右のような画面が出ます。ウィンドウは3つです。右の画像をクリックすると拡大画像が見られます。
- 左端のウィンドウはメイン画面です。現在受信中の電波の強さ（日付の左にある電波マーク）、放送局名、番組表、チャンネル情報などが表示されます。
- 真中のウィンドウはインフォメーション画面です。放送局によって違うのですが、アーティスト情報や曲名などが表示されます。
- 右端のウィンドウはテレビ画面で動画放送しています。
そうです！！！・・・デジタルラジオというのは限りなくワンセグ TV に近いのです。テレビとラジオの境界はボーダーレスです。たぶん、音声に重きを置いているのがデジタルラジオ、映像に重きを置いているのがワンセグ TV という区分程度だと思います。
こうなると、デジタルラジオチューナーが商品化された場合は、従来の FM/AM オーディオチューナーと全く違う形になりそうです。おそらく、ラジオ機能とテレビ機能を複合した端末になると思います。こりゃ～面白そうですね・・・デジタルラジオチューナーが早く商品化されないかなぁ～

受信環境を改善したい！

デジタルラジオは受信できるようになりましたが、もっと安定受信できないかと試行錯誤しました。
- 180MHz に同調するワイヤアンテナを試作・・・効果なし
- アンテナ線を伸ばして外部アンテナを外に出す・・・効果なし
- CATV アンテナラインに接続・・・受信不可。7ch の電波は入ってないみたい。
最終的に、意外なことに写真のような室内設置がベストでした。
1. アンテナケーブルで延ばすのではなく、本体アンテナを付けたまま USB 延長ケーブルで延ばします。
  こうするとアンテナケーブルでの減衰が回避できます。
2. フェライトコア入り USB 延長ケーブルを使います。
  パソコンからのノイズ回り込み対策と USB ケーブルがアンテナとて動作してしまう対策です。
3. 窓のブラインド枠を利用して紐で吊り下げます。
  実際にはサンワサプライの OA ねじラ～というケーブル結束リボンを使いました。
4. 設置したのは真北の窓です
  デジタルラジオの電波は南側から飛来するのですが、VHF 電波は反射するので、どこかに反射した電波を拾っているのでしょう。
この設置でデジタルラジオ全放送がフルレベルで受信できるようになりました。しかもワンセグ TV も受信できています。電波伝搬理論やアンテナ理論はどうしたの？と言いたくなるようなインチキ設置です。
デジタル放送受信はこれでイイのかも・・・アナログ放送受信ならマルチパスで全然使えない設置ですが・・・
7ch というのは 8ch で放送されている地域では本来使われないチャンネルです。よって、推測ですが 6ch の TBS テレビや 8ch のフジテレビの電波障害を受けている可能性があり、アンテナ感度が高過ぎると逆にダメなのかもしれません。

ワンセグ TV 機能も使ってみました

全く使うつもりのなかったワンセグ TV 機能ですが、とりあえず試してみました。ラジオ機能サポートソフトの代わりにワンセグ TV 機能サポートソフトを立ち上げるだけです。
テレビ画面の外枠を削除して常に前面に表示させる機能があります。この状態にして 1280×1024 ドットモニタ画面の右下に置くと、それほど邪魔ではないです。
私は普段テレビを見ないのですが、朝のお出かけ準備の間にニュースや天気予報を観てみました。右の画像がそのワンセグ TV 画面です。（2008年1月28日6時58分の TBS テレビです。）
動画は多少カクカクした動きです。秒あたりのフレーム数が少ないようです。
ハイビジョンでワイドで放送されているものは、ご覧のようにワイド画面になるようです。ハイビジョンのクッキリハッキリと比べるとかなり品質が落ちる画像ですが、これでも動画なので十分楽しめます。人間の脳にはノイズワイパーが付いているらしく、これでもテレビを楽しんだ気分になるのが不思議です。

仕様その他

取扱説明書

仕様は以下の通りです。

項目	仕様
サポート規格	USB 2.0 準拠
取得承認	EMI 規格 VCCI クラス B
ワンセグ仕様
受信放送	地上デジタルテレビジョン放送/携帯端末向けデジタル放送・モノラル/ステレオ/二重音声・字幕表示対応・データ放送表示対応 (双方向通信対応) ・EPG 表示対応
受信チャンネル	UHF 13～62ch
伝送規格	ISDB-T
データ形式	MPEG-2 TS ・画像 H.264 (MPEG-4 AVC) 320×180 320×240 ・音声 MPEG-2 AAC LC+SBR モノラル/ステレオ/二重音声
録画容量	1時間あたり約170MB
デジタルラジオ仕様
受信放送	地上デジタル音声放送 (デジタルラジオ) ・モノラル/ステレオ/二重音声・サラウンド対応・データ放送表示対応 (双方向通信対応) ・EPG 表示対応
受信チャンネル	VHF 7ch
伝送規格	ISDB-TSB
データ形式	MPEG-2 TS ・画像 H.264 (MPEG-4 AVC) 160×90 160×120 320×180 320×240 ・音声 MPEG-2 AAC LC+SBR モノラル/ステレオ/二重音声・データ放送 ARIB TR-B13 P2 プロファイル
電源仕様
供給方法	USB インターフェースより供給 (バスパワー)
定格入力電圧	DC5V
最大消費電流	120mA
動作時環境条件
温度	0～35℃
湿度	20～80% (結露なきこと)
その他
外形寸法	W29×D75×H10mm (本体のみ、アンテナ/キャップ含む)
質量	18g (本体のみ、アンテナ/キャップ含む)