Marantz DAC-1

Marantz DAC-1

Marantz DAC-1 をゲット！

2008年8月12日、プリアンプの Marantz DAC-1 をゲット！

オーディオ人気が衰退し、一部のマニアだけの趣味になってしまったので、昔のように10万円以下の優秀な機器が存在しなくなりました。現在プリアンプにどんな製品があるか調べたところ、50万円を超える高機能・高性能のものしかありません。私が求める 高品質・最小機能 のプリアンプが存在しないのです。

そこで過去の製品から程度の良いものを選択することにしました。 Marantz DAC-1 は1988年発売で定価16万円です。

ワンオーナーで無傷の逸品です。取扱説明書と貴重な当時のカタログ付きです。
プリアンプというよりボリューム付きのラインセレクタに近いシンプルな操作系です。
ライン入力は4系統で、これに録音機用の入出力が付いています。
モデル名の DAC は Digital Audio Controller の頭文字をとったものです。（D/A コンバータではありません・・・念のため）
Digital Audio Controller と言っても、このプリアンプにはデジタル回路は入っておらず、アナログ回路そのものです。デジタルオーディオ機器のセレクト＆音量調節、そしてデジタルノイズを取り除く能力があることから、このネーミングになったようです。

構成

持つことに喜びを感じる素晴らしい筐体
- フロントパネルはアルミ材 8mm 厚、天板はアルミ材 4mm 厚
- サイドパネルは片方 1.3kg のダイキャスト製
- ボリュームツマミは無垢のアルミ削り出し
- 銅メッキシャーシ
分厚い天板を外すと、電磁シールドされたトランスが3個見えます。
- 同じ大きさの2個が出力トランスで、スーパー・パーマロイ・コアを使用した高級トランスです。
- 小さいのが電源トランスで、トロイダルトランスです。
全体に手作り感覚があって、たまらなく良いです。
- 各パーツは、高品質部品です。
- 入出力端子は、金メッキでそれぞれ個別端子です。
- プリント基板は、絶縁性・吸湿性に優れたガラスエポキシ材でフリップコートされています。
回路構成は右図のように、シンプルストレート構成です。あまり使わない回路はバッサリ切り捨てられ、必須の回路と機能しかありません。まさに私好みです。
マスターボリュームの前にバッファアンプを設けることで、低インピーダンスボリュームを使用しています。
ラインアンプは、利得は +14dB で、トランス結合マルチフィードバック回路です。
出力トランスが特長
- 出力トランスの使用目的は、デジタルオーディオ機器のデジタルノイズを取り除くことです。
- 出力トランスにより、シャーシグランドと出力系グランドを分離しています。（ [OUTPUT 1] [OUTPUT 2] ともシャーシグランドから浮いています。）
- 出力トランスの2次巻線をデュアルワインディングとし、正相 (OUTPUT 1) と逆相 (OUTPUT 2) の2つの位相信号を出力します。この2つの出力を使う事で、パワーアンプの BTL 駆動も可能です。
構造やアンプ、電源基板はシンプルなので保守性が良いです。私は保守性を重視します・・・年代を経ると自分で修理するしかなくなるのです。それと、これくらいシンプルだと自分で部品を交換して音のチューニングをすることも可能です。
電源ケーブルの製造マーキングより、本機は1989年製造品と判りました。

使ってみました

デザインは秀逸です。私は昔からマランツの独特のデザインとシャンペンゴールドの色調が大好きです。
質感抜群の頑丈なアルミの塊のようなケースで、小さいのに重量が 4.2kg もあります。
密閉構造なので、ゴミの混入の心配がありません。
ボリュームツマミやスイッチの操作感は高級にふさわしい感触です。
私は、アンプ系はできるだけシンプルストレートが良いと考えます。ほとんど使わない音質調整回路やバランス調整はないほうが音質に貢献できます。（無ければ劣化することがない。）
入出力 RCA ピンジャックは金メッキされた個別の高信頼品です。 1個1個シャーシと絶縁しているという手の込んだ取り付けです。不具合になれば個別交換でき、メンテナンス性が良いです。
現在の製品で、出力トランスで伝送するプリアンプはほとんどないです。出力トランスにかなり良いものを使わなければならず、コストが非常に上がるためです。さすが バブル期のプリアンプ です。
どこから見てもズッシリと重いアルミの塊に見えるケースに惚れ惚れします。非常に趣味性の高い高品質プリアンプです。さすが 16万円です！
十分な重さがあるので、ボタンを押すと筐体が動いてしまうということはないです。安定した操作ができます。
「DAC-1 のアース端子」と「パワーアンプのアース端子」は必ず接続する必要があります
- 出力端子は完全にシャーシグランドより浮いています。このため、互いのアース端子を接続しないとパワーアンプが発振することがあります。
- 私はこれに引っかかりました・・・BEHRINGER A500 が発振しました。アース線を接続することでピタリと止まりました。現象としては、BEHRINGER A500 の入力ボリュームを最大近くにすると発振しました。入力ボリュームの中間点では発振しないので、最初 DAC-1 の残留雑音かと思ってしまいました。
音について
1. パワーアンプの BEHRINGER A500 と接続して使いました。
  - そもそも BOSE model 314 を上手く鳴らしたいと思って選択したのが BEHRINGER A500 です。この組み合わせでは高域が艶っぽく出て、私好みです。
  - 次に選んだのが、この DAC-1 という訳です。ですから、以下の正しい手順でこの DAC-1 に行き着いたのです。
    1. 鳴らしたい音のイメージを決める・・・喫茶店の BGM のような軽い爽やかな音
    2. イメージに合うスピーカを選択 (BOSE model 314)
    3. スピーカに合うパワーアンプを選択 (BEHRINGER A500)
    4. パワーアンプの性能を発揮させるプリアンプを選択 (Marantz DAC-1)
  - こう簡単に書いていますが、次から次へと買い換える財力がないので、この組み合わせに到達するまでに10年かかりました。
2. Marantz DAC-1 → BEHRINGER A500 → BOSE model 314 の相性はバッチリ！！！ です。
  - 当初のイメージ通りの「喫茶店の BGM のような軽い爽やかな音」が出ています。
  - 「DENON PMA-1500R のプリアウト → BEHRINGER A500」と比較すると、艶っぽい高域はそのままで、歪が少ないまろやかな音になりました。やはり、（パワーアンプほどではないが）プリアンプによっても音が少し変わるようです。
  - 深夜の極小音量時にも細かい音がよく聴こえます。逆に、大音量にしても嫌味のないスッキリとした軽い音です。

ちょっと電源を工夫・・・失敗談付き

DAC-1 のリアパネルを見てもらえば判りますが、DAC-1 の [POWER] ボタンに連動した AC100V アウトレットが付いていないです。これは、プリアンプの DAC-1 とパワーアンプの電源を別々に投入しないといけないことになります。面倒です。
パソコンサプライ商品ですが、サンワサプライより TAP-RE27M というパソコン連動型の AC タップが発売されています。これが使えるか検討しました。 TAP-RE27M の取扱説明書を参考にします。
1. TAP-RE27M の外観はごく普通の 7コンセントの AC タップに見えますが、コンセントの1つがパソコン用となっており、つないだパソコンに流れる電流を監視するようになっています。
2. 電流が流れていればパソコンが ON、流れていなければパソコンが OFF と TAP-RE27M が認識します。
3. TAP-RE27M がパソコンの ON/OFF を認識して、連動する3つのコンセントを同時に ON/OFF します。（残りの3つのコンセントは非連動で常に ON 状態です。）
4. パソコンも機種によって、かなり消費電流が異なります。 TAP-RE27M は賢くて、内蔵マイコンがパソコンに流れる電流を計測して ON/OFF 閾値を自動的に設定します。この機能により誤動作しない設計になっています。
そうです。このパソコン用コンセントに DAC-1 の電源プラグを挿入し、連動コンセントにパワーアンプを挿入すれば良いのです。 TAP-RE27M を調達して試してみました。（PC DEPOT で 2,240円でした・・・安！）
1. パソコン用コンセントに DAC-1 の電源プラグを挿入して試してみました・・・ ガ～ン！ TAP-RE27M が DAC-1 の ON/OFF を検知できない。 これは、DAC-1 の電流が少な過ぎるためのようです。（消費電力 8W ですから、80mA 程度しか流れない。）解決方法として、以下の2つが考えられます。
  1. TAP-RE27M を改造する
    TAP-RE27M のカバーを開けようとしましたが、トルクス（ヘックスローブ）の反対のような特殊ネジなので開けられませんでした。悔しいので、今度、アキバで対応ボックスドライバーを探してみます。
  2. 別の機器の電源に連動させる
    DAC-1 と一緒に電源を入れたい機器は A500 パワーアンプとスーパーウーファなので、これらの機器を代替としてパソコン用コンセントに挿入する。
2. スーパーウーファの電源プラグをパソコン用コンセントに挿入したところ、TAP-RE27M はスーパーウーファの電源 ON/OFF をちゃんと認識できました。
  - パワーアンプを ON/OFF したらプリアンプが連動して ON/OFF するというのは、私の感性に合いません。
  - プリアンプやパワーアンプはラック内ですが、スーパーウーファは外で、[POWER] ボタンは正面パネルの目立つ位置なので女房・子供にも操作可能です。
スーパーウーファを ON/OFF したらプリアンプとメインアンプが連動して ON/OFF する というのも何だか変ですが、プリアンプとメインアンプの [POWER] ボタンを常時 ON にしたままでよく、スイッチが痛まないので、まあイイか～！
- 上手くいきました・・・パチパチパチ！
- TAP-RE27M は、まさにインテリジェント AC タップです。

仕様

取扱説明書から仕様部分を抜粋しました。

項　目	仕　様
タイプ	Digital Audio Controller
入力感度 / インピーダンス	300mV / 47kΩ (LINE IN 1～4, TAPE IN)
定格出力 / インピーダンス	1.5V / 50Ω 　OUTPUT 1 : 同相出力　OUTPUT 2 : 逆相出力（注意）完全フローティング
全高調波歪率 (20Hz～20kHz)	0.03%
SN 比 (A ウェイテッド)	110dB
電源	AC100V, 50/60Hz
消費電力 (電気用品取締法)	8W
外形寸法	250(W)×84(H)×211(D) mm
重量	4.2kg
その他
付属品	RCA ピンケーブル×1本取扱説明書他
発売時期	1988年
定価	160,000円