KENWOOD L-01T

KENWOOD L-01T が到着

2023年5月29日、山梨県南都留郡の T さんから KENWOOD L-01T の再調整依頼品が到着しました。 写真は照明を LED 化した後です。

定価16万円 の高級 FM 専用チューナで パルスカウント検波 です。



程度&動作チェック

  1. 依頼者のコメント

  2. 外観

  3. 電源 ON してチェック

  4. カバーを開けてチェック



カバーを開けてみました

  1. 基板の作りは良いです。 写真をクリックすると拡大写真を表示できます。

  2. フロントエンド

  3. IF 部

  4. 検波部

  5. SCA フィルタ

  6. MPX 部



リペア

  1. フロントエンド基板に亀裂がある

  2. 放送の無い周波数でも S メータがユラユラ振れる

  3. ステレオ受信できない

  4. 電解コンデンサ全数交換 ・・・ 修理依頼者からのリクエスト

  5. 照明を LED 化 ・・・ 修理依頼者からのリクエスト

  6. DARC ノイズ対策

  7. チューニングノブ動作で受信音にガサゴソ雑音が入る



調整

写真の FM/AM 標準信号発生器 Panasonic VP-8175A (以下 SSG)、 FM Stereo 信号発生器 MEGURO MSG-2170、 周波数カウンタ ADVANTEST TR5822 を使って調整します。 10年も経つとコイルやトリマはズレます。

  

  1. 調整ポイント



    基板 機能 種別 調整ポイント 調整内容
    フロントエンド フロントエンド L L1
    L2
    L3
    L4
    L5
    L6
    RF トラッキング
    TC TC1
    TC2
    TC3
    TC4
    TC5
    TC6
    TC TC7 OSC トラッキング
    IFT L17
    L19
    L21
    IF
    チューナ基板 IF IFT L2
    L3
    L5
    IF
    L6 同調点検出 (QR)
    VR VR1 WIDE GAIN
    VR2 MUTING LEVEL
    VR3 S METER LEVEL
    VR4 NOISE LEVEL
    DET L L8 2'nd OSC
    SCA L L10
    L11
    SCA TUNED
    L12
    L13
    L14
    L15
    SCA FILTER
    VR VR5 SCA SENSTIVITY
    MPX VR VR6 VCO
    VR7 PILOT CANCELL
    VR8 PULSE WIDTH (L)
    VR9 PULSE WIDTH (R)
    VR10 SEPARATION (L)
    VR11 SEPARATION (R)
    L L16 PILOT CANCELL

  2. 電源電圧チェッックポイント (VP)

    VP 標準値 実測値 判定 備考
    電源基板 端子13 +14V +14.1V Front End, IF
    電源基板 端子15 +16V +16.3V MPX
    電源基板 端子17 -16V -16.3V MPX
    電源基板 端子19 +12V +12.8V 1'st OSC

  3. FM 受信部の調整

    手順 SSG出力 L-01T の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - MODE : MONO
    IF BAND : NARROW
    RF SEL : NORMAL
    - -  
    2 83MHz
    10dB 前後
    mono 1kHz
    83MHz 付近で受信 - オシロスコープで
    オーディオ出力波形を観測し、
    サイン波ピーク上下のノイズ成分が
    同じレベルになるよう指針を合わせる
    同調点調整
    3 83MHz
    90dB
    mono 1kHz
    指針は手順2から
    動かさない
    L6 チューングノブに手を触れながら
    T メータ = センタ
    4 90MHz
    90dB
    mono 1kHz
    指針を 90MHz に
    合わせる
    フロントエンド
    TC7
    チューングノブに手を触れながら
    T メータ = センタ
    OSC トラッキング調整
    ダイヤルと指針を合わせる
    のが目的
    5 78MHz
    40dB
    mono 1kHz
    78MHz 受信 フロントエンド
    L1
    L2
    L3
    L4
    L5
    L6
    S メータ = 最大 RF トラッキング調整
    6 88MHz
    40dB
    mono 1kHz
    88MHz 受信 フロントエンド
    TC1
    TC2
    TC3
    TC4
    TC5
    TC6
    7 手順5と6を数回繰り返す
    8 83MHz
    40dB
    mono 1kHz
    83MHz 受信 フロントエンド
    L17
    L19
    L21
    S メータ = 最大 フロントエンド IF 調整
    9 L2
    L3
    L5
    IF 調整
    10 - S メータ = 記録 WIDE GAIN 調整
    11 83MHz 受信
    MODE : AUTO
    IF BAND : WIDE
    VR1 S メータ = 手順10と同じ
    12 83MHz
    10dB
    mono 1kHz
    VR2 MUTING = ON/OFF 閾 MUTING レベル調整
    13 83MHz
    60dB
    mono 1kHz
    VR3 S メータ = 4.8 S メータ調整
    14 L8 R78 右側 = 1.96MHz
    周波数カウンタで測定
    2'nd OSC 調整
    15 OFF VR4 Q6-E = 8V NOISE AMP 調整
    16 83MHz
    90dB
    stereo 1kHz L+R
    VR6 以下の [VCO 調整手順] を参照 VCO 調整
    17 VR7
    L16
    オーディオ出力 = 19kHz 成分最小 パイロットキャンセル調整
    18 フロントエンド
    L21
    オーディオ出力 = 高調波歪率最小 IF 歪補正
    19 83MHz
    90dB
    stereo 1kHz L-R
    VR8 L ch. オーディオ出力 = 最大 SUB 調整
    20 VR9 R ch. オーディオ出力 = 最大
    21 83MHz
    90dB
    stereo 1kHz R
    VR10 L ch. オーディオ出力 = 最小 セパレーション調整
    22 83MHz
    90dB
    stereo 1kHz L
    VR11 R ch. オーディオ出力 = 最小

  4. 調整結果



使ってみました

  1. デザイン

  2. 端子類

  3. 感度や音質



仕様ほか

  1. ドキュメント

  2. 仕様

    FM 受信部
    受信周波数 76〜90MHz
    アンテナインピーダンス 75Ω不平衡
    感度 NORMAL : 10.3dBf (新 IHF) / 0.9uV (IHF)
    DIRECT : 20.7dBf (新 IHF) / 3uV (IHF)
    S/N 比 50dB 感度 NORMAL MONO : 15.8dBf (新 IHF) / 1.7uV (IHF)
    NORMAL STEREO : 37.2dBf (新 IHF) / 20uV (IHF)
    DIRECT MONO : 26.7dBf (新 IHF) / 6uV (IHF)
    DIRECT STEREO : 48.1dBf (新 IHF) / 70uV (IHF)
    高調波歪率 [MONO]
    100Hz : 0.02% (WIDE)、0.04% (NARROW)
    1kHz : 0.02% (WIDE)、0.15% (NARROW)
    6kHz : 0.04% (WIDE)、0.2% (NARROW)
    15kHz : 0.04% (WIDE)、0.05% (NARROW)
    50Hz〜10kHz : 0.04% (WIDE)、0.3% (NARROW)

    [STEREO]
    100Hz : 0.03% (WIDE)、0.3% (NARROW)
    1kHz : 0.03% (WIDE)、0.2% (NARROW)
    6kHz : 0.05% (WIDE)、0.3% (NARROW)
    15kHz : 0.18% (WIDE)、1.3% (NARROW)
    50Hz〜10kHz : 0.08% (WIDE)、0.4% (NARROW)
    S/N 比 MONO : 86dB
    STEREO : 80dB
    イメージ妨害比 120dB
    選択度 (IHF) 120dB
    IF 妨害比 120dB
    スプリアス妨害比 120dB
    AM 抑圧比 65dB
    キャプチャーレシオ WIDE : 0.9dB
    NARROW : 2.5dB
    サブキャリア抑圧比 70dB
    ステレオセパレーション 1kHz : 60dB (WIDE)、47dB (NARROW)
    100Hz〜10kHz : 48dB (WIDE)、35dB (NARROW)
    15kHz : 45dB (WIDE)
    周波数特性 15Hz〜15kHz ±0.5dB
    出力レベル/インピーダンス
    FM 出力 (1kHz 100% 変調) 可変 : 0〜1.5V/150Ω
    固定 : 0.75V/150Ω
    マルチパス出力 (1kHz 30% 変調) V : 0.1V/1kΩ
    H : 0.3V/10kΩ
    総合
    電源 AC100V 50/60Hz
    定格消費電力 (電気用品取締法) 50W
    外形寸法 440(W)×136(H)×452(D) mm
    重量 9.1kg
    その他
    発売時期 1979年
    定価 160,000円