Marantz Model 115

Marantz Model 115 が到着

2023年1月12日、三重県三重郡の S さんより Marantz Model 115 の修理依頼品が到着しました。 この写真は修理&照明 LED 化後です。

製造から半世紀経ったビンテージチューナです。 直るかな?



程度&動作チェック

  1. 修理依頼者のコメント

  2. 外観

  3. 電源 ON してチェック



カバーを開けてみました

  1. 作りは良いです。

     



  2. フロントエンド (FE)

  3. IF 部

  4. 検波部

  5. MPX 部

  6. AM 部



リペア (その1):2023年1月

  1. 照明の LED 化

  2. 電解コンデンサ交換 ・・・ 予防保守

  3. 電源コードが短くカットされ、別物のプラグが付いている

  4. [AM] ボタンが飛び出して外れる

  5. 放送に対してダイヤル指針が全体的に -0.6MHz ズレている

  6. output ボリュームのガリ

  7. バリコン軸の接触不良回復

  8. その他のメンテナンス

  9. 交換前に実装されていた部品の記録写真





リペア (その2):2023年7月

  1. 【修理依頼者より】2023年1月に修理していただき、それからほぼ毎日使用していましたが、以下の障害が出ました

  2. 2023年7月20日にチューナが到着したので、動作チェックしました

  3. L チャンネルから雑音しか出ない

  4. [STEREO] ランプが点灯しない時があり、点滅を繰り返すこともある。

  5. 今回の修理で交換した部品



調整

写真の FM/AM 標準信号発生器 Panasonic VP-8175A (以下 SSG)、 FM Stereo 信号発生器 MEGURO MSG-2170、 周波数カウンタ ADVANTEST TR5822 を使って調整します。 10年も経つとコイルやトリマはズレます。

  

  1. 調整ポイント



    基板 種別 調整ポイント 調整内容
    フロントエンド L L101
    L102
    L103
    RF トラッキング
    TC C102
    C104
    C105
    L L104 OSC トラッキング
    TC C106
    IFT L105 IF
    IF IFT L201 レシオ検波
    MPX L L301 19kHz
    L302 19kHz/38kHz (モジュール)
    L304 38kHz BSF
    L305 LPF
    VR R365 ステレオセパレーション
    ノイズアンプ VR R481 FM S メータレベル
    R487 T メータ MUTING 範囲
    AM L バーアンテナ
    L151
    RF トラッキング
    TC TCA1
    TCA3
    L L152 OSC トラッキング
    TC TCA2
    IFT L153
    L154
    IF

  2. 電圧チェックポイント (VP)

    VP 標準電圧 実測電圧 判定 備考
    J406 +13.1V +13.0V FE, IF, MPX, ノイズアンプ, AM
    J413 +33.5V +34.1V MPX, AF アンプ

  3. FM 受信部の調整

    手順 SSG出力 115 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - BAND : FM
    MUTING : OFF
    MONO : OFF
    HI BLEND : OFF
    -  
    2 78MHz
    40dB
    mono 1kHz
    ダイヤル指針を
    78MHz
    に合わせる
    L104 S メータ = 最大 OSC トラッキング調整
    ダイヤル指針とダイヤル周波数を
    合わせるのが目的
    3 88MHz
    40dB
    mono 1kHz
    ダイヤル指針を
    88MHz
    に合わせる
    C106
    4 手順2〜3を数回繰り返す
    5 78MHz
    40dB
    mono 1kHz
    78MHz 受信 L101
    L102
    L103
    S メータ = 最大 RF トラッキング調整
    6 88MHz
    40dB
    mono 1kHz
    88MHz 受信 C102
    C104
    C105
    7 手順5〜6を数回繰り返す
    8 83MHz
    40dB
    mono 1kHz
    83MHz 受信 L105 S メータ = 最大 IF 調整
    9 83MHz
    90dB
    mono 1kHz
    L201
    下コア
    オーディオ出力 = 高調波歪最小 レシオ検波調整
    10 L201
    上コア
    T メータ = センタ
    11 手順9〜10を数回繰り返す
    12 83MHz
    90dB
    stereo 1kHz L-R
    83MHz 受信 L301 オーディオ出力 = 最大 MPX 調整
    13 83MHz
    90dB
    stereo 1kHz L
    14 L105 オーディオ出力 = 高調波歪最小 stereo 高調波歪調整
    15 83MHz
    90dB
    stereo 1kHz R/L
    R365 L/R ch. オーディオ出力 = 最小 セパレーション調整
    16 83MHz
    100dB
    mono 1kHz
    R481 S メータ = フル S メータ調整
    17 - MUTING : ON - T メータ MUTING 調整
    18 83MHz
    90dB
    mono 1kHz
    83MHz 受信 R487 指針を 83MHz から少しだけ前後に動かし
    T メータのセンタからの
    MUTING OFF 範囲を設定

  4. AM 受信部の調整

    手順 SSG出力 115 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - BAND : FM
    MUTING : OFF
    -  
    2 600kHz
    40dB
    1kHz
    ダイヤル指針を
    600kHz
    に合わせる
    L152 S メータ = 最大 OSC トラッキング調整
    ダイヤル指針とダイヤル周波数を
    合わせるのが目的
    3 1000MHz
    40dB
    1kHz
    ダイヤル指針を
    1000kHz
    に合わせる
    TCA2
    4 手順2〜3を数回繰り返す
    5 600kHz
    40dB
    1kHz
    600kHz 受信 バーアンテナ
    L151
    S メータ = 最大 RF トラッキング調整
    6 1400kHz
    40dB
    mono 1kHz
    1400kHz 受信 TCA1
    TCA3
    7 手順5〜6を数回繰り返す
    8 1000kHz
    40dB
    1000kHz 受信 L153
    L154
    S メータ = 最大 IF 調整

  5. 調整結果



使ってみました

  1. デザイン

  2. FM の感度と音質

  3. AM の感度と音質



仕様など

  1. ドキュメント

  2. 仕様

    FM チューナ部
    感度 1.9uV (75Ω) (IHF)
    セパレーション 42dB (1kHz)
    キャプチュアレシオ 1.6dB
    歪率 0.15% (mono), 0.3% (stereo)
    スプリアス妨害比 95dB 以上
    イメージ妨害比 70dB 以上
    AM 抑圧比 60dB 以上
    IF 妨害比 90dB 以上
    選択度 60dB 以上
    S/N 70dB 以上 (mono), 60dB 以上 (stereo)
    AM チューナ部
    感度 20uV 以上
    総合
    電源電圧 100V 50/60Hz
    外形寸法 390(W)×146(H)×300(D)mm
    重量 7.9kg
    その他
    発売時期 1972年
    定価 64,900円