Technics ST-G7

Technics ST-G7 をゲット!

私のチューナーページのファンから Technics ST-G7 の不動作品を2台寄贈していただきました。 それぞれ別の方からの寄贈で、<1台目>は2009年9月26日受け取り、<2台目>は2009年10月1日受け取りました。

なんと! パルスカウント検波+Sample & Hold MPX の高性能チューナーです。 Thechnics にパルスカウント検波機種があったことに初めて気付きました。



程度&動作チェック



カバーを開けてみました

  1. 基板の作りは良いです。 写真をクリックすると拡大写真を表示できます。

  2. FM フロントエンド

  3. FM IF 部


  4. FM パルスカウント検波部

  5. FM MPX 部

  6. AM 受信部

  7. Pioneer F-120, F-120D との比較



修理

  1. <1台目>修理

    1. 音量が小さい

      • 原因はパルスカウント検波部でした。 電気的動作点を動かして一応動作するようになりましたが、連続テストしていると音量が不安定で歪っぽいです。

      • こうなるとパルスカウント検波のパルスを作る専用 IC102 AN7275S が故障しかありません。 この IC は入手はほぼ不能なので、この個体は修理不可と判断しました。

    2. この個体の修理は諦めて部品取り用途にします。

  2. <2台目>修理

    1. 電源は入るが周波数表示が出ず操作もできない

      • ゴールドキャパシタが液漏れして基板を僅かに腐食させていました。 基板洗浄とゴールドキャパシタ交換で完全に直りました。 見立ては大当たりでした。

      • こうなるのは、ゴールドキャパシタが内部短絡状態に近くなり、MCU 電源の +5.6V を下げる方向に引っ張るからです。 電気を入れておくとゴールドキャパシタに充電され電圧が上がっていくので、+5.6V がだんだん正常値に戻るというものです。

      • 10年を経過したゴールドキャパシタは無条件で交換が吉と思われます。 正常に動いているように見えても +5.6V 電源回路にストレスがかかっているかもしれません。

    2. 外観の補修

      • <1台目>からマシな機構部品を移植しました。 移植した部品は以下です。

        • フロントパネル外枠
        • LCD ユニット
        • プリセットボタン
        • シーリングパネルのガラス板
        • 天板

      • フロントパネルをバラバラに分解して判りました。 かなりお金のかかった作りになっています。



調整

写真の FM/AM 標準信号発生器 Panasonic VP-8175A (以下 SSG)、 FM Stereo 信号発生器 MEGURO MSG-2170、 周波数カウンタ ADVANTEST TR5822 を使って調整します。 10年も経つとコイルやトリマはズレます。

  

  1. 調整ポイント



  2. 電圧チェックポイント (VP)

    VP 標準値 実測値 備考
    Q701-E +15.6V +15.6V チューナ
    Q706-E +5.6V +5.55V MCU
    Q702-E +8.6V +8.78V オーディオ
    Q703-E -8.6V -8.66V

  3. FM 受信部の調整

    手順 SSG出力 ST-G7 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - band selector : FM
    rec level : off
    IF band : normal
    mode : auto
    - -  
    2 83MHz
    90dB
    無変調
    83MHz 受信 T101 TP101〜TP102 電圧 = 0±20mV 同調点調整
    3 - 76.1MHz 受信 L6 TP1 電圧 = 3.0V OSC トラッキング調整
    4 - 89.9MHz 受信 CT1 TP1 電圧 = 10.5V
    5 手順3〜4を数回繰り返す
    6 83MHz
    30dB
    無変調
    83MHz 受信 L1
    L3
    L4
    VR101-1pin 電圧 = 最大 RF トラッキング調整
    7 T1 1st IF 調整
    8 83MHz
    90dB
    無変調
    T103 TP103 波形 = 最大
    オシロスコープで観測
    2nd IF 調整
    9 VR102 TP302 電圧 = 0±20mV パルスカウント検波調整
    10 83MHz
    90dB
    stereo 1kHz L+R
    T1
    T103
    オーディオ出力 = 高調波歪最小 stereo IF 歪補正
    11 L301
    VR103
    オーディオ出力 = 19kHz 成分最小 パイロットキャンセラ調整
    12 83MHz
    90dB
    stereo 1kHz R
    VR304 L ch. オーディオ出力 = 最小 セパレーション調整
    13 83MHz
    90dB
    stereo 1kHz L
    VR303 R ch. オーディオ出力 = 最小
    14 83MHz
    60dB
    無変調
    VR101 S メータ = 60dB S メータ調整

  4. AM 受信部の調整

    手順 SSG出力 ST-G7 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - band selector : AM
    rec level : off
    - -  
    2 450kHz
    90dB
    400Hz
    - T201 オーディオ出力 = 最大 IF 調整
    3 522kHz
    40dB
    400Hz
    522Hz 受信 L203 VT & RF トラッキング調整
    4 612kHz
    40dB
    400Hz
    612kHz 受信 L202
    5 1503kHz
    40dB
    400Hz
    1503kHz 受信 CT201
    6 手順3〜5を数回繰り返す

  5. 調整結果

    1. FM は同調点と MPX がかなりズレていました。 AM は全体にズレがありました。

    2. FM ステレオセパレーションとキャリアリークは以下です。

      • IF band : normal 時のセパレーションはかなり良好な数値です。

      • IF band : super narrow 時は自動的に Hi-Blend がかかるので、セパレーションが大きく落ち込みます。

      • できるだけ IF band : normal で使ったほうがよいです。

      項目 IF band stereo/mono L R 単位
      ステレオセパレーション (1kHz) normal stereo 64 66 dB
      super narrow 18 18 dB
      パイロット信号キャリアリーク normal stereo -75 -73 dB
      オーディオ出力レベル偏差 normal mono 0 +0.73 dB



使ってみました

  1. 全体の作りが良いです

  2. 機能

  3. 感度&音質



仕様ほか

  1. ドキュメント

  2. 仕様



    その他
    発売時期 1983年
    定価 73,800円