Accuphase T-107

Accuphase T-107 をゲット!

DGL 検波 が特長の FM 専用シンセサイザチューナ

2009年8月28日、 Accuphase T-107 の中古・不動作品を12,990円で購入しました。



程度&動作チェック

  1. リサイクル店のコメント

  2. 外観

  3. 入手した状態のまま電源 ON してチェックしました



Accuphase チューナの変遷

  1. Accuphase チューナを発売順に並べてみました。

    発売時期
    (年-月)
    型名 定価
    (円)
    Analog
    Digital
    バンド 検波方式 同調ノブ
    の有無
    寸法 W×H×D
    (mm)
    質量
    (kg)
    1973-09 T-100 155,000 A FM/AM Ratio 445×160×355 14.0
    1974-05 T-101 110,000 A FM Ratio 455×152×355 11.1
    1978-10 T-104 250,000 D FM QR 466×188×391 14.1
    1979-01 T-103 150,000 A FM QR 445×128×370 10.0
    1980-10 T-105 120,000 D FM QR 445×128×370 8.4
    1984-01 T-106 145,000 D FM/AM DGL 466×153×385 9.0
    1985-07 T-107 99,800 D FM DGL × 445×107×330 5.8
    1990-03 T-11 120,000 D FM DGL 445×95×325 9.3
    1990-04 T-108 120,000 D FM DGL 475×115×351 9.4
    1993-12 T-109 150,000 D FM Advanced DGL 475×140×402 9.5
    1999-05 T-109V 170,000 D FM Advanced DGL 475×140×402 9.5
    2005-07 T-1000 280,000 D FM Advanced DGL 465×140×402 11.8

  2. T-107 の位置付けですが、定価が一番安く、質量も一番軽いです。 寸法は2番目です。

  3. T-107 は Accuphase のチューナで唯一、ご自慢の同調ノブがありません。

  4. T-107 は FM/AM チューナの Accuphase T-106 から AM 部を取り去って FM 専用機にしたような構成です。 FM フロントエンドも同一です。 FM 専用に使う方なら T-107 のほうがパフォーマンスが良いです。

  5. Accuphase チューナとしては一番安いですが付加機能を省略しただけのようで、 TIC でも「T-1000 以前では最高かも」と書かれています。

  6. 以上より、T-107 は歴代の最安値ですが Accuphase らしさはシッカリ保持している機種ではないかと思います。 シンプルな構成なのでメンテナンス性が良いことも評価したいです。



カバーを開けてみました

  1. 基板の作りは非常に良いです。 写真をクリックすると拡大写真を表示できます。

  2. フロントエンド

  3. IF 部

  4. DGL 検波部

  5. MPX 部

  6. その他



リペア

  1. 状況からみた見立て

  2. 調査

  3. 修理

  4. ボタンのくすみ等はクリーニングで新品同様のピカピカ状態に復帰しました。 端子のくすみはマイクロ研磨でピカピカ状態に復帰しました。



調整

写真の FM/AM 標準信号発生器 Panasonic VP-8175A (以下 SSG)、 FM Stereo 信号発生器 MEGURO MSG-2170、 周波数カウンタ ADVANTEST TR5822 を使って調整します。 10年も経つとコイルやトリマはズレます。

  

  1. 調整ポイント

    種別 調整ポイント 備考
    VR VR1 NARROW GAIN
    VR VR2 S-METER MIN
    VR VR3 S-METER MAX
    VR VR4 MUTING LEVEL
    VR VR5 SEPARATION
    IFT T1 2nd IF (2.4MHz)
    IFT T2 T-METER NULL

  2. 電圧チェックポイント (VP)

    VP 標準値 実測値 (参考) 備考
    [78M05] OUT +5.6V +5.64V MCU 用
    [78M15] OUT +15V +15.02V チューナ用

  3. FM 受信部の調整

    手順 SSG出力 T-107 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - MUTING : OFF
    FILTER : OFF
    SELECTIVITY = NORMAL
    - -  
    2 - 76MHz 受信 [フロントエンド]
    OSC コイル
    J138 電圧 = 3.0V OSC トラッキング調整
    3 - 90MHz 受信 [フロントエンド]
    OSC トリマ
    J138 電圧 = 20.0V
    4 手順2と3を数回繰り返す
    5 83MHz
    30dB
    無変調
    83MHz 受信 [フロントエンド]
    RF トリマ×4
    OSC Buffer トリマ
    S メータ = 最大 RF トラッキング調整
    6 [フロントエンド]
    IFT
    IF 調整
    7 83MHz
    90dB
    無変調
    T2 IC15(NJM2904)-5pin 電圧
    同調点検出の真ん中に合わせる
    同調点調整
    8 T1 [TA7310P] 7pin 波形 = 最大
    オシロスコープで観測
    2nd IF 調整
    9 83MHz
    60dB
    無変調
    - S メータ = 記録 NARROW GAIN 調整
    10 83MHz
    60dB
    無変調
    83MHz 受信
    SELECTIVITY = NARROW
    VR1 S メータ = 手順9と同一
    11 83MHz
    20dB
    無変調
    83MHz 受信
    SELECTIVITY = NORMAL
    VR2 S メータ = 20 S メータ調整
    12 83MHz
    100dB
    無変調
    VR3 S メータ = 100
    13 手順11と12を数回繰り返す
    14 83MHz
    21dB
    mono 1kHz
    MUTING : ON
    FILTER : OFF
    SELECTIVITY : NORMAL
    83MHz 受信
    VR4 MUTING = ON/OFF 閾 MUTING レベル調整
    15 83MHz
    90dB
    stereo 1kHz L+R
    [フロントエンド]
    IFT
    オーディオ出力 = 高調波歪率最小 ステレオ IF 歪補正
    16 83MHz
    90dB
    stereo 1kHz R/L
    VR5 L/R ch. オーディオ出力 = 最小 セパレーション調整

  4. 調整結果

    項目 SELECTIVITY L R 単位
    ステレオセパレーション (1kHz) NORMAL 50 50 dB
    NARROW 22 21 dB
    パイロット信号キャリアリーク NORMAL -81 -81 dB
    オーディオ出力レベル偏差 (MONO) 0 +0.03 dB



使ってみました

  1. フロントパネル

  2. リアパネル他

  3. 機能関連

  4. 音質&感度

  5. メインオーディオシステムに組み込みました



仕様ほか

  1. ドキュメント

  2. 仕様



  3. 発売情報

    発売時期 1985年7月
    定価 99,800円