DENON TU-332

DENON TU-332 をゲット！

不思議な妖しいデザインに魅せられて

2016年1月24日、 ハードオフ 越谷南店で DENON TU-332 のジャンク品を税込540円で入手したのですが、勤務先変更などで忙しくてなかなか手が付けられず、2016年6月18日に整備完了しました。

入手動機は [デザインが秀逸で高級感あり] [高級感あるダイヤル針の動き] [FM 専用機] [4連バリコン] [F 端子] です。

本機のシリアルナンバーは [112189] です。

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早速、程度＆動作チェック

1. 外観
   
   
   • 全体にベトベトした黄色いヤニ (のような) 汚れが目立ちます。
     
     
     • フロントパネルは少し黄色くなっていますが、キズはほぼないです。
       
       
     • チューニングノブやスイッチにもヤニの汚れがあって黄色っぽくなっています。
       
       
     • 天板にはヘコミやキズはありませんが、ヤニで汚れています。
       
       
   • リアパネルの端子に軽いサビがあります。
     
     
2. 入手した状態のまま電源 ON してチェックしました
   
   
   • 全てのランプは正常に点灯します。
     
     
   • チューニングノブやスイッチは正常に動作します。
     
     
   • FM 受信は正常でステレオランプも点灯します。 音にステレオ感を感じます。
     
     
   • ダイヤル指針に少しズレがあり、80.0MHz → 79.9MHz で受信されますが、85.1MHz ではズレがないです。
     
     

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カバーを開けてみました

1. 基板は小さく1枚だけです。 写真をクリックすると拡大写真を表示できます。
   
   
   • 基板に FM フロントエンドも搭載しています。
     
     
   • 使用 IC のロット番号より、この TU-332 は1975年製と判明しました。 電源ケーブルの製造マーキングも1975年でした。
     
     
2. 以下の IC を使用して合理化が図られています。
   
   

   メーカ	IC	機能
   日立	HA1137	FM IF System
   	HA1156	FM Stereo Demodulator
   東芝	TA7060	FM IF Amplifier

   
   
3. FM フロントエンド
   
   
   • 4連バリコン式です。 構成は以下です。
     
     
     (ANT)→[同調]→[Dual Gate FET]→[同調]→[同調]→[Mixer (TR)]←[OSC 同調 (TR)]
     
     
4. FM IF 部
   
   
   • シンプルな以下の構成です。
     
     
     (FE)→[CF1]→[T1]→[TA7060]→[CF2]→[CF3]→[HA1137]-[T2]
     
     
5. FM 検波部
   
   
   • HA1137 によるクォードラチュア検波です。 位相シフタは T2 です。
     
     
6. FM MPX 部
   
   
   • HA1156 による PLL MPX です。 この出力をトランジスタ1段で増幅してから キャリリーク LPF を経てオーディオ出力します。
     
     

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調整

写真の FM/AM 標準信号発生器 Panasonic VP-8175A (以下 SSG)、 FM Stereo 信号発生器 MEGURO MSG-2170、 周波数カウンタ ADVANTEST TR5822 を使って調整します。 10年も経つとコイルやトリマはズレます。

　　

1. 調整ポイント
   
   

   部位	種別	調整ポイント	調整内容
   フロントエンド	L	L1, L2, L3	RF
   	TC	TC1, TC2, TC3
   	L	L4	OSC
   	TC	TC4
   	IFT	T0	IF
   IF	IFT	T1	IF
   検波	IFT	T2	QR 検波
   MPX	VR	VR1	VCO

   
   (注) T2 には上側と下側に2つの調整コアがあります。 下側コアを調整できるよう底板に調整用の穴が開けられています。
   
   
2. 電圧チェック
   
   

   基板	TP	標準値	実測値
   電源基板	TP12V	+12V	+12.23V

   
   
3. FM 受信部の調整
   
   

   手順	SSG周波数	SSG出力	TU-332 の設定	調整箇所	TP 及び調整値	備考
   1	-	-	muting : off high blend : off function : auto	-	-
   2	10.7MHz	90dB 変調 : OFF	SSG 出力を R1 リア側に注入	T2 下側コア	T メータ = センタ (0V)	仮同調点調整
   3	78MHz		78MHz 受信	L4		OSC トラッキング調整
   4	88MHz		88MHz 受信	TC4
   5	手順3と4を数回繰り返す
   6	78MHz	10〜30dB 変調 : OFF	78MHz 受信	L1, L2, L3	S メータ = 最大	RF トラッキング調整
   7	88MHz		88MHz 受信	TC1, TC2, TC3
   8	手順6と7を数回繰り返す
   9	83MHz	10〜30dB 変調 : OFF	83MHz 受信	T0, T1	S メータ = 最大	IF 調整
   10		90dB 変調 : MONO 1kHz (100%)		T2 上側コア	オーディオ出力 = 高調波歪最小	QR 調整
   11				T2 下側コア	T メータ = センター (0V)
   12	手順10と11を数回繰り返す
   13	83MHz	90dB Pilot 信号 : ON 変調 : OFF	83MHz 受信	VR1	VR1 を一旦反時計方向に回し切り 徐々に時計方向に回し STEREO ランプが点灯する位置を記録・・・(1) VR1 を一旦時計方向に回し切り 徐々に反時計方向に回し STEREO ランプが点灯する位置を記録・・・(2) VR1 を(1)と(2)の中間に設定する	MPX VCO 調整

   
   
4. 調整結果
   
   
   • FM ステレオセパレーションは調整ボリュームがないにも関わらず良好でした。
     
     
   • 高調波歪率はステレオ 1kHz で 0.096% でした。 仕様より良いです。
     
     

   項目	L	R	単位
   ステレオセパレーション	46	54	dB
   パイロット信号キャリアリーク	-64	-67	dB
   オーディオ出力レベル偏差 (MONO)	0	-0.16	dB

   
   

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使ってみました

1. シンプルだが妖しい雰囲気を感じる高級感のあるデザイン
   
   
   • フロントパネルはヘアラインアルミで厚み 3.6mm です。
     
     
   • ダイヤルスケールはバックから透過照射
     
     
     • 目盛や文字が薄緑っぽく浮かび上がる高級感ある作りです。
       
       
     • FM 表示だけのシンプルで細い小気味良いスケールです。
       
       
     • 筐体内部清掃時に確認しました。 ダイヤルスケール板はエッチングで目盛や文字を切り抜いたような特殊な作りです。 いわゆるプリント基板のような作り。
       
       
     • ダイヤル窓の下側に 飾りサッシ を入れてデザインにアクセントを付けています。
       
       
   • チューニングノブは 無垢アルミ です。 適度な重みがありスムーズに回転します。
     
     
   • スイッチは非常に珍しいスライド式で、レバー部分が無垢アルミ材に見えて高級感があります。
     
     
   • フルサイズですが、横幅と奥行が短く、コンパクトに感じます。
     
     
     • 設置に困らない大きさです。
       
       
     • 筐体構造はコの字型鉄板2枚を組み合わせたような強固な構造です。
       
       
     • 天板サイド側に止めネジはなく、天板全体を本体シャーシに後ろから差し込む構造です。
       
       
   • FM アンテナ入力は扱いやすい F 端子です。 妨害電波が飛び込みにくいです。
     
     
2. 機能関連
   
   
   • [muting] スイッチでミューティング on/off を切り換えできます。
     
     
   • [high blend] スイッチ on で電波の弱い放送のノイズを軽減できます。 ただし、セパレーションが悪くなるので、通常は off で使います。
     
     
   • [function] スイッチを mono にすると強制的にモノラルとなります。 通常は auto で使います。
     
     
3. 評価
   
   
   • 4連バリコン採用のおかげで、十分な受信性能があります。
     
     
   • 音質はいわゆるクォードラチュアの音です。 ソフトな感じがします。
     
     
   • 価格に関わらず、高級らしく見えるのが良いところです。 性能も音質もそこそこ良く満足できます。
     
     

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仕様

FM 受信部
受信周波数範囲	76〜90MHz
実用感度 (75Ω)	0.9uV/10.3dBf
実効選択度	78dB
イメージ妨害比 (83MHz)	90dB
スプリアス妨害比 (83MHz)	88dB
キャプチャーレシオ	1.2dB
周波数特性	20Hz〜15kHz +0.2 -3dB
S/N 比	75dB
高調波歪率	stereo 0.15% (1kHz 90% 変調) mono 0.1% (1kHz 100% 変調)
ステレオセパレーション	45dB (1kHz) 40dB (100Hz〜10kHz)
アンテナインピーダンス	75Ω不平衡型 300Ω平衡型
出力レベル/インピーダンス	1V/1.5kΩ (100% 変調)
総合
電源電圧	AC100V, 50/60Hz
定格消費電力	15W
外形寸法	396(W)×147(H)×281(D)mm
重量	5kg
その他
発売時期	1975年
定価	37,500円

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