YMAHA CT-X11

YMAHA CT-X11 が到着

2022年6月4日、広島市の Y さんから YMAHA CT-X11 の修理&再調整依頼品が到着しました。

写真はリペアが終わって照明を LED 化した後です。



程度&動作チェック

  1. 修理依頼者のコメント

  2. 外観

  3. 入手した状態のまま電源 ON してチェックしました



カバーを開けてみました

  1. 基板の作りは普通です。 写真をクリックすると拡大写真を表示できます。

  2. フロントエンド

  3. IF 部

  4. 検波部

  5. MPX 部

  6. AM 部



リペア

  1. 0.4〜0.5MHz 程度の周波数ズレがある

  2. S メータの照明ランプ切れ



調整

写真の FM/AM 標準信号発生器 Panasonic VP-8175A (以下 SSG)、 FM Stereo 信号発生器 MEGURO MSG-2170、 周波数カウンタ ADVANTEST TR5822 を使って調整します。 10年も経つとコイルやトリマはズレます。

  

  1. 調整ポイント



    FM/AM 機能 種別 調整ポイント 調整内容
    FM フロントエンド L L1
    L2
    RF トラッキング
    TC TCF1
    TCF2
    L L3 OSC トラッキング
    TC TCF3
    IFT IFT1 IF
    IF VR VR201 IF 歪補正
    VR1 FM METER
    DET IFT T201(T) 同調点 (NULL)
    T201(B) 検波歪調整
    MPX VR VR2 PCL (パイロットキャンセラ)
    VR3 VCO (フリーラン周波数)
    VR4 SEP (ステレオセパレーション)
    AM フロントエンド L T202 RF トラッキング
    TC TCA1
    L T203 OSC トラッキング
    TC TCA2
    IF IFT CF205 IF 増幅

  2. テストポイント (TP)

    TP 接続先 内容 備考
    S メータ S メータ端子両端 S メータ 受信レベル
    T メータ T メータ端子両端 T メータ FM 同調点で 0±2mV

  3. FM 受信部の調整

    手順 SSG出力 CT-X11 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - FUNTION : FM AUTO DX - -  
    2 83MHz
    40dB
    変調 : mono 1kHz
    83MHz 受信 TCF3 S メータ = 最大 OSC トラッキング調整
    3 TCF1
    TCF2
    RF トラッキング調整
    4 IFT1 IF 調整
    5 - FUNTION : FM AUTO - -  
    6 83MHz
    90dB
    変調 : mono 1kHz
    83MHz 受信 T201(T) オーディオ出力 = 高調波歪最小 検波調整
    7 T201(B) T メータ = センタ
    8 手順6と7を数回繰り返す
    9 83MHz
    90dB
    変調 : mono 1kHz
    83MHz 受信 VR201 オーディオ出力 = 高調波歪最小 IF 歪補正
    10 83MHz
    90dB
    変調 : stereo 1kHz
    IFT1 ステレオ歪補正
    11 VR3 以下の [VCO 調整手順] を参照 VCO 調整
    12 VR2 オーディオ出力 = 19kHz 成分最小 パイロットキャンセラ調整
    13 83MHz
    90dB
    変調 : stereo 1kHz R/L-only
    VR4 L/R ch. オーディオ出力電圧 = 最小 セパレーション調整

  4. AM 受信部の調整

    手順 SSG出力 CT-X11 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - FUNCTION : AM - -  
    2 600kHz
    60dB
    600kHz 受信 T203 S メータ = 最大 OSC トラッキング調整
    3 1400kHz
    60dB
    1400kHz 受信 TCA2
    4 手順2と3を数回繰り返す
    5 600kHz
    40dB
    600kHz 受信 T202 S メータ = 最大 RF トラッキング調整
    6 1400kHz
    40dB
    1400kHz 受信 TCA1
    7 手順5と6を数回繰り返す
    8 1000kHz
    40dB
    1000kHz 受信 CF205 S メータ = 最大 IF 調整

  5. 調整結果

    1. FM フロントエンドで大きなトラッキングのズレがありましたが、再調整で大幅改善しました。

      • 感度が大きくアップしました。

      • ダイヤルと指針ほぼ合うようになりました。

    2. 高調波歪率 (1kHz) は、Normal では素晴らしい値が出ています。

      IF BAND mono stereo 単位
      Normal 0.04 0.05 %
      DX 0.84 0.87 %

    3. スレテオセパレーションなども以下のような優秀な値になりました。

      • DX モードは緊急モードだと思います。 選択度は優れていますが、高調波歪率やステレオセパレーションはかなり劣ります。

      項目 IF BAND L R 単位
      ステレオセパレーション Normal 53 52 dB
      DX 22 26 dB
      パイロット信号キャリアリーク Normal -52 -55 dB
      オーディオ出力レベル偏差 (MONO) 0 +0.04 dB
      REC CAL (MONO) 323.0 Hz
      -6.8 -6.8 dB

    4. AM 受信

      • は周波数ズレがありましたが再調整により、ほぼちょうどよい具合になりました。

      • 感度も大幅アップしましたが、そもそもそう感度が良い訳ではなさそうです。

      • なお、AM ループアンテナが添付されなかったので手持ちのループアンテナで調整しています。

      • 従って、修理依頼者のループアンテナでは最高感度にならない可能性があります。



使ってみました

  1. デザイン

  2. 機能関連

  3. 端子類

  4. 受信性能&音質



仕様ほか

  1. ドキュメント

  2. 仕様

    FM チューナ部  
    受信周波数 76.0〜90.0MHz
    実用感度 (300Ω) mono: 1.6uV/9.3dBf
    イメージ妨害比 55dB
    IF 妨害比 80dB
    キャプチュアレシオ 1.0dB
    実効選択度 (IHF) Normal : 55dB (±400kHz)
    DX : 85dB
    S/N 比 mono: 80dB
    stereo: 75dB
    全高調波歪率 (1kHz、Normal) mono: 0.07%
    stereo: 0.08%
    ステレオセパレーション 45dB (1kHz、Normal)
    周波数特性 30Hz〜15kHz +0.5dB -1.0dB
    サブキャリア抑圧比 45dB
    AM チューナ部  
    受信周波数 522〜1629kHz
    実用感度 18uV
    選択度 (IHF) 25dB
    総合  
    電源電圧 AC100V 50/60Hz
    定格消費電力 8W
    外形寸法 435(W)×160(H)×334(D) mm
    重量 6.3kg
    その他  
    発売時期 1986年
    定価 37,200円