YAMAHA CDR-HD1500
DAT に代わるもの・・・HDD レコーダ
2007年1月16日、
ヒューズ
のネット販売にて、
YAMAHA CDR-HD1500
をコミコミ(税・送料・振込手数料込)49,580円で購入しました。 定価は税込78,750円です。
長年、最高音質録音機材として DAT を2台駆使してきましたが、各社で DAT の生産が中止され、録音テープの入手が困難になってきました。 そこで DAT に代わる録音機材を探しておりました。
民生用でマトモなオーディオクラスの LPCM HDD レコーダは、ありそうでないのです。
MP3 などの圧縮録音では、クラシック音楽を存分に楽しめる音は出ないです。 やはり、LPCM 機でないと満足できない・・・
MD や MP3 と言った圧縮擬似 Hi-Fi は論外で選択肢に入れませんでした。 CDR-HD1500 は非圧縮の LPCM(リニア PCM)録音です。
デフォールトでは CD プレーヤですが、この製品の凄いところは、自分で HDD を買ってきて実装することができるのです。 メーカーでは 400GB までを保証しています。 自分でアキバへ行って格安の HDD を買ってくれば良いのです。 買ってきた3.5インチ IDE HDD を裏側にある HDD スロットに挿入して、電源ケーブルと IDE ケーブルを接続するだけです。 メーカー製品で自社以外の部品取り付けを許しているのは珍しいです。
400GB HDD だと600時間も連続録音できます。 音楽 CD だと600枚以上が圧縮無しにデジタル録音できることになります。 HDD ジュークボックスとしても使えます。 600時間だから、25日も連続再生可能です。 約1ヶ月です。 それも1日24時間連続再生で・・・
もちろん、HDD に録音した音楽を CD-R に焼くこともできます。
私の主な使い方は、高音質 FM 放送を HDD に録音する/CD を HDD に大量にコピーしてジュークボックスとして使う、ということになりそうです。
DAT や MD やカセットデッキと違って、メカ機構はほとんどありませんし、HDD や CD-R は自分で交換できるので、今度こそ、末永く使えそうに思います。 (今までオープンリールデッキ、カセットデッキ、DAT を使い続け、メンテ不可になった反省でもあります。)
CDR-HD1500 が到着し、試運転しました
2007年1月19日、アキバで日立の 320GB HDD を購入しました。 この HDD は流体軸受になっていて音が静かなことと、消費電力が少ないので高信頼性が期待できます。 税込9,870円でした。 320GB あれば480時間録音できますので、CD アルバム500枚近く入ります。
ついでに、音楽用 CD-R と CD-RW も買いました。 CD-R は TDK XA for MUSIC というもので、10枚セットで税込880円でした。 CD-RW は maxell MQ Audio というもので、1枚税込99円でした。 やはりデータ用よりは高いです。 でも、私の感覚では1枚100円以下ならOKです。
HDD は裏面にある HDD スロットに突っ込み、IDE ケーブルと電源ケーブルを差し込むだけです。 簡単です。 注意点は HDD を IDE Slave 設定に変更してから組み込む必要があることです。 IDE ケーブルはウルトラ仕様になっておらず、これから考えると、相当スペックの落ちる HDD でも大丈夫そうです。 今回買った HDD は 7,200rpm, 8MBキャシュ, ATA Ultra 133, 流体軸受けとスペックがハイ過ぎたようです。 (でも、今時はこんなのしか売っていない。)
音楽 CD から HDD へのコピーは快適です。 10倍速ですから、1枚6分くらいでコピー完了です。 スタート ID も音楽 CD と全く同じに付けてくれます。 LPCM デジタル録音ですから音の劣化は皆無です。 44.1kHz/16 bits フォーマットで HDD に記録します。 (MP3 は圧縮なので、ちゃんと聴けば音の劣化が激しいことが判ります。音が細く弱くなる感じです。クラシック音楽には MP3 は使いものにならない。)
HDD に入った音楽を聴いてみると、CD 再生よりはるかに良い音です。 それは理由があります。 CD 再生ではリアルタイムにエラー訂正しながら再生するので、途中にエラー訂正不可能になったら、1フレーム前のデータを今回もはめ込んでおこう・・・というズルをするからです。 HDD からのデータ読み取り精度は、皆さんご存知のようにエラーはほぼ皆無です。 コンピュータに使われるくらいですから1ビットでもエラーが出ると大変です。 ですから、HDD からの再生はエラーなし音楽を聴いているのですから、音が良いのは当たり前です。
DAT から本機に乗り換えるために、DAT テープを HDD にコピーしました。 普通に DAT と本機をデジタル接続すると、SCMS ガードがかかってコピーできませんから、自作の [SCMS コピー制限解除器] を使って「カテゴリ = DAT, Copy bit = 1」と変更して行いました。 このモードにすると業務機器と同じようにデジタルで全く劣化なしに無限回数コピーできるようになります。 DAT からは等倍速度でコピーするしかないので、非常に時間が掛かりました。
DAT テープを HDD にコピーしていたら、自分でも忘れていた秘蔵生ロクテープが出てきました。
子供達が幼い頃のおしゃべり生ロクテープです。 DAT でのデジタル録音なので、すごくリアルな高音質で入っています。
この時代、子供達をムービーで記録した親達は多かったと思いますが、DAT の LPCM 録音で記録した親は私だけだったのじゃ???
CDR-HD1500 の HDD に入れたので、簡単に CD 化できます。 子供達が巣立っていく時にプレゼントとしてあげたいと思います。
使ってみて・・・評価、仕様、不満など
実際使ってみて、若干の不満はありますが、とっても快適に音楽を聴けるという満足感が不満を圧倒的に凌駕します。 とっても良いマシンです。
紐から円盤へ
DAT は「テープ=紐」なので、ランダムアクセスには向きません。 サーチする時は最初からシーケンシャルに探すしかありません。 よって、曲の頭出しが遅いです。 それに比べて HDD や CD は円盤ですから、サーチは早いです。 ランダムアクセスできます。 HDD に録音してから聴くというのは、かなり正解です。
今まで使っていた DAT は
SONY DTC-57ES
という、当時、定価88,000円(税抜)で高級ブランドの ES シリーズです。 これから考えると CDR-HD1500 は定価75,000円(税抜)ですから安いですが、HDD を別途買ってこないといけないので、まあ、同等かな。
録音機として評価すると、DTC-57ES のほうが圧倒的に使いやすいです。 レベルメータも大きく、表示分解能が高いので、生ロクでも十分活躍できます。 それに比べて CDR-HD1500 は MD デッキを高級にしたような使い勝手で、DTC-57ES にはかないません。
コピー&編集機として評価すると、CDR-HD1500 のほうが圧倒的に使いやすいです。 編集能力に優れ、分割・統合など、まるで MD デッキ感覚で LPCM 編集が可能です。
音質はヤマハらしい、軽めで高音が綺麗な傾向です。 昔からヤマハの音は繊細感はありますが、重厚感はないです。 好みが分かれるところです。
なんと!奥行きが 40cm を超えます!
まるで LD プレーヤーかレコードプレーヤ並のサイズです。 標準コンポ用で奥行のあるラックでないと入らない。 重さも HDD 含みで約 9kg と重い。 安いプリメインアンプより重い。 モービル用途には無理です。 サブ用途として、大きさも重さもミニコンポサイズの機種も欲しい。
フロントパネルは分厚いシャンパンゴールドのアルミ材で高級感あります。 残念ながらツマミやボタンはプラスチックです。 私の好みからはアルミ削り出しが良かった。
FL パネルは橙色で表示されます。 部屋を暗めにして鑑賞する場合に、FL パネルの光が気にならない。
背面に FAN が付いているが、まだ回転したのを見たことがない。 冬で室温が低いためか?
HDD の騒音は全く聞こえない。 筐体に耳をくっつけると若干の騒音が聞こえるが。
レベルメータはオマケか?
細かく見れない。しかも、アナログ録音時に左右のバランス調整ができない。 こういうことから生ロクにはむかない。 きっと、この用途は想定外でしょう。
入力がアナログ1系統、同軸デジタル1系統、光デジタル1系統と録音機としては少ない。 出力がアナログ1系統、同軸デジタル1系統、光デジタル1系統は理解できる。
リモコンを使わないでも、本体だけで、ほとんどの操作がスムーズにできます。 タイトル打ち込みだけは、リモコンのほうが携帯電話打ち込みが出来るので楽です。
タイトル打ち込みはパソコンからやったほうが楽
パソコンからタイトル入力するには、ヤマハのページからタイトル入力ソフトをダウンロードします。 このソフトは Windows95 マシンでも問題なく動作しました。(と言うか、今時のパソコンには RS-232C が装備されていない。) カット&ペーストまたは、CSV で入力できます。
パソコンとのインタフェースは RS-232C、それもクロスケーブルが必要
LAN 対応してほしかった。 たぶん、ヤマハは ISDN TA も製造しているので、クロスはこのためか?
タイトル打ち込みで使える文字は英数文字だけ
タイトルをローマ字打ちしていると悲しくなる。 せめてカタカナ対応してほしかった。
OSD 機能によりテレビに詳細情報を表示できます。 本体パネルより多くの情報を表示できます。
HDD のファイル管理は「DISC」「Track」だけ
DISC は CD をイメージし、Track は CD に入っている各曲のイメージ。 この DISC がファイル管理のトップなので、600枚の CD を HDD に記録すると 600 DISC できてしまう。 100 DISC を超えると目的の DISC を探すのが大変になりそう。 パソコン OS のようなフォルダー管理機能が欲しかった。
選曲の頭出しが速く、気持ち良いです。
付属品は「RCAオーディオケーブル」「RCAビデオケーブル」「光ケーブル」「リモコン」「ACケーブル」「単3乾電池×2本」である。 このうち、「RCAオーディオケーブル」「RCAビデオケーブル」は100円ショップグレードでガッカリ。
他の CDR-HD1500 で使っていた HDD を入れても認識しない・・・となっている。 なぜ???
CD から HDD にコピーした音楽を CD-R に焼こうとすると SCMS の制限からムーブになってしまう。 (SCMS コピー制限解除器で Copy bit=1 としてデジタル録音したものは無限コピーできます。)
CD TEXT もコピーできます。 ただし、内臓 CD ドライブから HDD にコピーする場合だけです。
CD や CD-R の最初の読み取りには壊れているのか?と思うくらい時間がかかります。 取扱説明書には10〜20秒が標準だがそれ以上かかる場合があると書かれています。
電源 ON で表示パネルに「WELCOME TO YAMAHA HDD/CD SYSTEM」と表示される・・・ただそれだけ。
ヘッドホンでの音質は特に問題なし。
CD から HDD へのコピーは Best Effort(最大10倍)/2倍/1倍が選択可能。
HDD から CD-R へのコピーは Best Effort(CD-R 最大8倍、CD-RW 最大4倍)/4倍が選択可能。
外部タイマーによる、電源ON時の自動録音/再生が可能。
常に HDD を介した記録となる。 例えばデジタルやアナログ入力で直接 CD-R 記録は不可能。
デジタル録音の場合でも若干のレベル調整が可能(-12 〜 +12dB)
この機能はありがたいです。 生ロクした素材を HDD にコピーする際に最適レベルにすることができます。 生ロクでは音のピークが予想外になることが多く、44.1kHz 24bits フォーマットを使用し、かつ -12dB くらい余裕を持って録音したいです。 こうすると、CDR-HD1500 にコピーする際に 44.1kHz 16bits になるので、8bits の余裕があります。 コピーするする際に 24→16 bits に変換されるので(単純に上下の 8 bits を切り取る。)、-12dB で生ロクした場合は、上限マージン 2 bits/下限マージン 6 bits とることができます。
CD から HDD へのシンクロコピーが可能。
HDD から CD-R へのコピー時に高音質の「AudioMASTER」録音が可能。
CD のデュプリケートモードがある。 この場合、HDD にはオーディオデータが残らない。
CD-R や CD-RW を一般の CD プレーヤで再生できるようにするためには、ファイナライズ処理が必要。
編集メニュー一覧
下の表は CDR-HD1500 の編集メニュー一覧です。 MD デッキを扱ったことのある方なら、内容の大体は想像できると思います。
中身・・・たぶん
「たぶん」と書いたのは、この写真、実は CDR-HD1300 の内部写真だからです。 CDR-HD1500 と CDR-HD1300 の外観は全く同じで、型名表示が違うだけです。 ですから、中身はほとんど同じではないか???・・・と想像します。
左側の写真
真ん中の基板は電源ボード、上側中央は CD-RW ドライブ、下側左は HDD スロット。
右側の写真
HDD スロット下にある CPU ボード(ADC/DAC もこの基板内と思うが)。
いずれにしても、あのバカデカイ筐体の中は割と余裕があるようです。 もっと中を詰めて、小さいのを作ってください。
雑談
DAT が受難の時代を迎えたと思ったら、カセットデッキも同じような状況のようです。
既にクローズドループ・デュアルキャプスタン仕様のデッキは皆無になり、市場に残っているのは2万円台以下の安物メカのオートリバースデッキしかないようです。
要は、紐の時代は終ったということか・・・
これから2011年に向かってデジタル放送の時代に突入するので、さぞかし高画像・高音質になるのだろうと、誰しも思っているでしょう。 ところが、純粋オーディオ的に言うと後退になってしまいます。
デジタル放送の音質に関するスペックを調べてみました。
地上波デジタルテレビ放送
規格:ISDB-T
音声:MPEG-2 AAC
BS/CS110°デジタルテレビ放送
規格:ISDB-S
音声:MPEG-2 AAC
デジタルラジオ
規格:ISDB-T SB
音声:MPEG-2 AAC
CS-PCM 音楽放送
音声:LPCM 48kHz/16bits
BS アナログ放送
Aモード音声:LPCM 32kHz/10 or 14bits
Bモード音声:LPCM 48kHz/16bits
2011年には BS アナログ放送は終ってしまうので、LPCM 放送はミュージックバードの衛星 CS-PCM 放送だけになってしまいます。 それ以外は全て圧縮オーディオです。 ニューイヤーコンサートを MP3 モドキの圧縮音声で聴くことになろうとは、未来は暗いですね・・・
CDR-HD1500 にセットできる CD-R や CD-RW は音楽用しかダメです。 マシンが拒否します。 でも、音楽用は少々高いのです。
これを回避する
裏技
ですが、CDR-HD1500 に音楽用 CD-RW をセットして書き込み、この音楽用 CD-RW をマスターとしてパソコンでデータ用 CD-R にコピーするという方法で、安いデータ用 CD-R に書き込めます。 私は
専用のデュプリケータ
を所有しているので、それを使いますが・・・
CD-RW は消去して何度でも使えるので、こういう方法で安いデータ用 CD-R を使うことができます。
・・・内緒・・・内緒・・・
仕様その他
ドキュメント
CHR-HD1500 取扱説明書
・・・ zip 圧縮しています
CHR-HD1500 サービスマニュアル
仕様は以下です。
発売時期
2005年6月上旬
定価
78,750円(税込)