KENWOOD R-K1000
KENWOOD R-K1000 をゲット!
2012年1月27日、
フルデジタルアンプ
の
KENWOOD R-K1000
の中古を入手しました。
フルデジタルアンプとしては数少ないピュアオーディオクラスの製品です。
外観や状態は良好で、[取扱説明書] [リモコン] [AM ループアンテナ] [FM 室内アンテナ] が付属していました。
KENWOOD と VICTOR は2011年10月1日に合併し
JVC KENWOOD
となりましたが、2012年1月時点では KENWOOD ブランドと JVC ブランドの両方の製品があります。
R-K1000 は2007年11月に発売開始され、既に生産完了 (2011年頃) となっています。 現在、KENWOOD ブランドの単品アンプはなく、最後の単品アンプかもしれず、歴史的に貴重な製品かも。
特長やデザイン
最大の特長は
フルデジタルアンプ
以下は R-K1000 のブロック図です。
内部処理は 88.2kHz/24bits レートが基本です。
CD の 44.1kHz/16bits はサンプリングレートコンバータで 88.2kHz/24bits に変換されます。
アナログ入力は ADC とサンプリングレートコンバータで 88.2kHz/24bits に変換されます。
内部で 88.2kHz サンプリング処理するのは、アンプの周波数特性を 40kHz 辺りまで伸ばすことが目的です。
DAI 入力〜スピーカ端子直前までデジタル信号のままです。
プリアンプ部はデジタル演算処理動作します。
メインアンプ部は PWM 変調による D 級動作になります。 PWM 変調波もデジタル演算にて作成します。
一番最後のスピーカ端子直前にローパスフィルタ (L.P.F.) が入り、ここでアナログ信号に戻ります。
フルデジタルアンプ全体で DAC のような動作
になります。
フルデジタルアンプはデジタル演算器ですから、厳密にはアンプではなくて変換器です。
1bit DAC の電力版
と言えます。
全部をデジタル処理するのでノイズマージンが高く、自身でもノイズを発生しないので、
S/N は非常に高い
です。
フルデジタルアンプを使うと、CD プレーヤなどのデジタルオーディオ機器の DAC が不要になります。
フルデジタルアンプは、デジタルソースにとっては
まさに理想のアンプ
と言えます。
デザイン
フロントパネルは良い顔をしています。 フロントパネルのアルミ材の厚みが 8mm もあってく感触が良いです。
[VOLUME] [INPUT SELECTOR] ノブがデザインのアクセントになっています。
ミニコンポサイズの割には重量感があります。 270(W)×99(H)×318(D)mm, 5.3kg です。
天板の材質が薄いビニコート鉄板で安っぽいです。 両手で少し押すだけで簡単に凹みます。 剛性不足の気がします。
機能や操作性
ピュアオーディオアンプのため、設定がシンプルで使いやすいです。
AV アンプだと、端子の論理名と物理名との対応設定、スピーカ端子のチャンネル設定など実に難解です。
[Clear A] という高音質出力モードがあります。
[Class A] とお間違いなきよう。
出力は小さくなるが音質が向上するらしい。
[Clear A] モードにしても Class A のようにアンプから高熱を出すと言う事はありません。
カタログに「アンプ素子に供給する電源電流の変動を抑えた Clear A 専用電源」と解説されていることより、パワーアンプ部の電圧を低くして電圧変動を抑えるモードでしょう。
デジタルパワーアンプには本来適さない電源トランス式シリーズ電源採用の弊害を回避するモードと思います。
DAI 信号は 32/44.1/48/88.2/96kHz に対応します。
[Supreme EX] という機能があります。
カタログには「デジタル化で失われた高域成分を補間し、原音に近いリアルなサウンドを再現する」と記述されています。
デジタル入力で低サンプリングレート時(32/44.1/48kHz)に有効です。
要はサンプリング前後のビットパターンから高域をデジタル補完するのでしょう。
[VOLUME] の左右の音量偏差は全くなく、分解能 1dB 単位(Clear A モードの時は 0.5dB 単位)で音量調整ができます。
フロントパネルに [PHONES] 端子があり、ミニプラグのヘッドホンが接続できます。 ヘッドホン専用に Wolfson の DAC を使っているので、ヘッドホンアンプとして使っても高性能です。
フロントパネルに [D.AUDIO] 端子があり、KENWOOD 製の DAP と接続すると R-K1000 で再生およびリモコンから DAP が操作できます。 接続には専用の PNC-150 ケーブル(別売)を使います。
フル操作がリモコンからできます。
というかフル操作するにはリモコンが必要です。
時計機能を内蔵しています。 2系統のプログラムタイマ機能とスリープタイマ機能もあります。
ディスプレイの輝度を下げるディマー機能やスクリーンセーバ機能があります。
内臓 FM/AM チューナ
オマケ機能としか思えません。 パックチューナユニットを使い、仕様にステレオセパレーションの記述がありません。
プリセットメモリは FM/AM ランダムに40局分あります。 周波数表示だけでなく、放送局名を表示することもできます。
FM の音質は、そこそこマトモに聴けます。 時報の音でチェックしても歪なく綺麗に鳴ります。
ただし、1980年代の高級チューナと肩を並べるほどの音質ではなく、それほど不満がないというレベルです。
AM の感度は良いです。 音は普通です。
リアパネルの端子
アンテナ端子
FM アンテナ端子は F 端子になっており、妨害電波の混入を避けられます。
AM アンテナ端子はワンタッチコネクタになっており、ここに AM ループアンテナを接続します。
アナログ端子
アナログ入力は [PHONO] [AUX] [TAPE-IN] [D.AUDIO] の全部で4系統です。
汎用的に使えるのは [AUX] 1つだけと、かなり少ないです。 [PHONO] なんて今時使わないので、これを通常のラインレベルにして欲しかった。 (このアンプを使うユーザで MM カートリッジ付きレコードプレーヤは持っていないと思う。)
アナログ出力は [TAPE-OUT] の1系統です。
プリアウト出力がありません。 スーパーウーファを接続できません。
スーパーウーファは通常プリアウトかスピーカ端子に接続するが、スピーカ端子が BTL 出力なのでスーパーウーファを接続できない。
DAI (Digital Audio Interface) 端子
デジタル入力は、[D-IN1] [D-IN2] が光、[D-IN3] [CD] が同軸で、全部で4系統です。
ラインレベルのアナログ入力よりデジタル入力のほうが多いと、一般のアンプと逆転しています。
デジタル出力はないです。
スピーカ端子
スピーカ端子は BTL 出力
になっています。 グランドから浮いているので要注意です。
適合インピーダンスは4〜16Ωです。 低いインピーダンスのスピーカほど出力が取り出せます。
スピーカ端子直前に入っているローパスフィルタが周波数特性に影響するので、6Ωがベストマッチングのはずです。
その他の端子
[ROOM EQ マイク入力] 端子に付属マイクを接続すると、部屋に合わせた周波数特性を自動調整できます。
[システムコントロール] 端子は他の KENWOOD 機器と連動する時に使います。
内部写真 ・・・ 私なりの解説です
カタログに「音質を支える電源部分には大型 EI コアトランスを採用」とあります。 ピュアオーディオアンプの拘りというアピールです。
デジタルパワーアンプ部は瞬発的な大電流を要求するので、電源トランス式シリーズ電源は適さず、スイッチング電源のほうが良いはずです。
デジタルパワーアンプで歪発生する最大の要因は電源電圧変動です。
良いほうに理解すると、電源トランス式シリーズ電源は発生雑音が少ないので、これに拘ったのでしょう。
デジタル入力には全く効果がありません。 アナログ入力には効果があると思います。
[Clear A] という訳の判らないモード
があるのも、無理矢理、電源トランス式シリーズ電源を使ったことに原因があると思います。
電源の脆弱性を補うため、電圧を下げて電流を抑えることで電圧変動を抑えるモードが [Clear A] です。 本来は欠点を補う機能のはずが、カタログでは新機能搭載と優位点のように書かれている。
オーディオとは魑魅魍魎の住む魔界の世界でございます。
以上から判るように、「電源トランスを搭載したから低音が力強くなった」などということは、絶対にあり得ません。 ミテクレだけと思います。
カタログに「アンプ増幅素子用のヒートシンクは、左右独立に設置し、互いの干渉を排除」とあります。
これが音質に影響することはあり得ません。 ミテクレだけと思います。
ところで、「アンプ増幅素子用のヒートシンク」ってどれか判りますか?
手前にある大きい放熱板ではなく、リアパネルに近い2個の小さい放熱板です。
デジタルパワーアンプは電源効率が非常に良いので、パワーアンプ部で無駄な電力消費が少なく発熱も僅かなので、この程度の放熱板で十分です。
この小さい放熱板とリアパネルのスピーカ端子の間に小さい部品群が見えますが、これがデジタル→アナログに戻すローパスフィルタです。 デジタルパワーアンプのスイッチング周波数が高いので、この程度のフィルタで済んでしまうのです。
たったこれでけで デジタル→アナログ に戻るのです。 騙されているみたい・・・
検聴しました
ONKYO D-202AU
スピーカを接続
2.5cm ソフトドームと 16cm ウーファの 2WAY 構成です。 振動板がホヤ貝の繊維とパルプでできています。
インピーダンスは5Ωです。 R-K1000 の [Clear A] で最大 12W + 12W 出るはずです。
能率は現在としては高目の 90dB/W/m です。 R-K1000 の推奨スピーカ LS-K1000 は 85dB/W/m です。 D-202AUを 12W で駆動した音量と、LS-K1000 で 38W で駆動した音量は同じということになります。
D-202AUは LS-K1000 より能率が良く、[Clear A] モードでも十分な音量が得られるという事です。
位置設定 ・・・ ニアフィールド試聴
スピーカ間隔:1.5m
検聴位置:2個のスピーカの中心より直角に1.2m
R-K1000 の設定
[Clear A] = ON
[SPRM EX] = ON
[ROOM EQ] = OFF
[TONE] = OFF
入力ソース
デジタルソース
R-K1000 とペアになる CD プレーヤ
DP-K1000-N
を同軸デジタル接続しました。
中島みゆき の 1st アルバム
私の声が聞こえますか
を再生。
アナログソース
高級 FM チューナの
KENWOOD L-03T
でエアチェック。
結果
フルデジタルアンプ特有の
無味無臭・無色透明
の音質です。 S/N が物凄く良いです。
高音域はスッキリ爽やか高解像度です。 低音域はしっかり締まった動きの速い低音です。
スピーカを選ばないです。 スピーカの音質がそのまま出ます。
[Supreme EX] の効果が確認できました。 [Supreme EX] = ON のほうが良いです。
[Supreme EX] はその原理よりデジタル接続の CD 再生でのみ確認できます。
安物の CD / DVD プレーヤでもデジタル入力すると超高級プレーヤに変身する効果があります。 まさにプアマンズ・アンプですね。
巷でよく「デジタルアンプだから冷たい音」などと言う理解不能の発言を聞くことがあります。 この人は音を頭で聴いていると思います。
音は耳で聴くもの
です。 フルデジタルアンプはアナログアンプよりアナログらしい滑らかな音がします。
R-K1000 初期化の方法
制御系に柔軟性を持たせるため、MCU を使っています。 これのリセットと設定情報の初期化ができます。
初期化の方法は以下です。 設定は全て工場出荷時状態に戻ります。
R-K1000 の電源プラグを壁コンセントから抜く。
R-K1000 本体の [POWER] ボタンを押しながら、電源プラグを壁コンセントに入れる。
ディスプレイに [INITIALIZE] と表示され、初期化が完了する。
仕様その他
取扱説明書
カタログ
仕様は以下です。
その他
付属品
@取扱説明書
AAM ループアンテナ
BFM 室内アンテナ
Cルームイコライザー用マイク
Dリモコン (RC-R0830)
E単4乾電池×2本
発売時期
2007年11月
定価
53,000円 (税不含)