TRIO KT-8100

TRIO KT-8100 をゲット!

2009年6月7日、 HARD-OFF 16号庄和店のジャンクコーナーで TRIO KT-8100 の中古が2,100円でした。

TRIO のお家芸 パルスカウント検波 を実装したチューナーです。

  1. 外観

  2. 入手した状態のまま電源 ON してチェックしました



カバーを開けてみました

  1. 基板の作りは良いですが、こげ茶のベークライトで少々古臭く感じます。 写真をクリックすると拡大写真を表示できます。

  2. IC を使用して合理化が図られています。

    メーカ IC 機能
    HITACHI HA1137W FM IF System
    HITACHI HA1196 FM PLL MPX
    HITACHI HA1197 AM Tuner
    NS MC1496N Blanced modulator/demodulator
    TOSHIBA TA7060 FM IF Amplifier
    TRIO-KENWOOD TR4010A Pulse Count Detector

  3. FM フロントエンドは以下の構成で、4連バリコンです。 コア入りコイルを使っているので、トラッキング調整がやりやすいです。 空芯コイルは性能が良くても調整は極めてやりにくいのです。

  4. FM IF 部は以下の構成です。

  5. FM パルスカウント検波部

  6. MPX 部は [HA1196] を使った PLL MPX です。

  7. AM 部のフロントエンドは2連バリコンです。 [HA1197] で全てを構成します。

  8. 使用 IC のロット番号より、この KT-8100 は1979年製と判明しました。 電源ケーブルのマーキングも1979年でした。



調整

写真の FM/AM 標準信号発生器 Panasonic VP-8175A (以下 SSG)、 FM Stereo 信号発生器 MEGURO MSG-2170、 周波数カウンタ ADVANTEST TR5822 を使って調整します。 10年も経つとコイルやトリマはズレます。

  

  1. 電圧チェック

    手順 TP 及び調整値 備考
    1 [Q14-E] = 標準値 14V 実測値 13.92V

  2. FM 受信部の調整

    手順 SSG周波数 SSG出力 KT-8100 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - - SELECTOR : FM
    FM MODE : MONO
    MPX FILTER : OFF
    - -  
    2 76MHz 30〜60dB
    変調 : MONO 400Hz
    76MHz 受信
    IF BAND : NARROW
    L4 S メータ = 最大  
    3 90MHz 30〜60dB
    変調 : MONO 400Hz
    90MHz 受信
    IF BAND : NARROW
    TC1 S メータ = 最大  
    4 - - - - 手順2と3を数回繰り返す OSC トラッキング調整
    5 76MHz 30dB
    変調 : MONO 400Hz
    76MHz 受信
    IF BAND : NARROW
    L1
    L2
    L3
    S メータ = 最大  
    6 90MHz 30dB
    変調 : MONO 400Hz
    90MHz 受信
    IF BAND : NARROW
    バリコンの
    FM RF トリマ×3個
    S メータ = 最大  
    7 - - - - 手順5と6を数回繰り返す RF トラッキング調整
    8 83MHz 30dB
    変調 : MONO 400Hz
    83MHz 受信
    IF BAND : NARROW
    L6 S メータ = 最大 IF 調整
    9 83MHz 40dB
    変調 : MONO 400Hz
    83MHz 受信
    IF BAND : WIDE/NARROW
    [IF GAIN] ボリューム S メータ = WIDE/NARROW で同一 IF WIDE ゲイン調整
    10 83MHz 90dB
    変調 : OFF
    83MHz 受信
    IF BAND : NARROW
    L11 T メータ = センター (0V) FM 同調点調整
    11 83MHz 90dB
    変調 : OFF
    83MHz 受信
    IF BAND : NARROW
    L17 R50 (1kΩ) リア側周波数 = 1.96MHz ダウンコンバート周波数調整
    周波数カウンタで測定

  3. MPX 部の調整

    手順 SSG周波数 SSG出力 KT-8100 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - - SELECTOR : FM
    FM MODE : AUTO
    MPX FILTER : OFF
    - -  
    2 83MHz 90dB
    Pilot 信号 : ON
    変調 : STEREO 1kHz
    83MHz 受信
    IF BAND : WIDE
    L6 オーディオ出力 = 高調波歪率最小 IF 歪調整
    ±90度の範囲で調整
    3 83MHz - 83MHz 受信
    IF BAND : WIDE
    [VCO]
    ボリューム
    R65 (22kΩ) フロント側周波数 = 76kHz±200Hz VCO フリーラン周波数調整
    周波数カウンタで測定
    4 83MHz 90dB
    Pilot 信号 : ON
    変調 : R/L ch. only 1kHz
    83MHz 受信
    IF BAND : WIDE
    [WIDE SEPARATION]
    ボリューム
    L/R ch. オーディオ出力電圧 = 最小 WIDE セパレーション調整
    5 83MHz 90dB
    Pilot 信号 : ON
    変調 : R/L ch. only 1kHz
    83MHz 受信
    IF BAND : NARROW
    [NARROW SEPARATION]
    ボリューム
    L/R ch. オーディオ出力電圧 = 最小 NARROW セパレーション調整

  4. AM 受信部の調整

    手順 SSG周波数 SSG出力 KT-8100 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - - SELECTOR : AM - -  
    2 600kHz 60dB 600kHz 受信 L12 S メータ = 最大  
    3 1400kHz 60dB 1400kHz 受信 バリコンの
    AM OSC トリマ
    S メータ = 最大  
    4 - - - - 手順2と3を数回繰り返す OSC トラッキング調整
    5 600kHz 40dB 600kHz 受信 バーアンテナの
    コア
    S メータ = 最大  
    6 1400kHz 40dB 1400kHz 受信 バリコンの
    AM RF トリマ
    S メータ = 最大  
    7 - - - - 手順5と6を数回繰り返す RF トラッキング調整

  5. 調整結果

    1. FM フロントエンドで若干トラッキングのズレがあり、再調整で感度アップしました。

    2. FM ステレオセパレーションなどは以下となりました。 素晴らしく良好な数値です。

      項目 IF BAND L R 単位
      ステレオセパレーション WIDE 72 70 dB
      ステレオセパレーション NARROW 55 53 dB
      パイロット信号キャリアリーク WIDE -59 -60 dB
      オーディオ出力レベル偏差 (MONO) WIDE 0 -0.06 dB



使ってみました

  1. デザインは良いですが、ともかくデカイです。

  2. 機能関連

  3. FM は感度が良く、音の解像度が良く高音質です。 AM は十分な感度とそれなりの音質です。 お奨めできるチューナー です。



S メータ



仕様&その他