LUXMAN 5T10

LUXMAN 5T10 が到着

2023年3月12日、岩手県一関市の S さんより LUXMAN 5T10 の修理依頼品が到着しました。

ラボラトリーリファレンスシリーズのFMチューナ

定価108,000円 の FM 専用高級機です。



程度&動作チェック

  1. 修理依頼者のコメント

  2. 外観

  3. 電源 ON してチェック

  4. カバーを開けてチェック



カバーを開けてみました

  1. 素晴らしい作りです。 写真をクリックすると拡大写真を表示できます。

  2. フロントエンド

  3. IF 部

  4. 検波部

  5. MPX 部



リペア

  1. 別物の AC プラグを揺すると電源が入ったり切れたりする

  2. [muting off] スイッチを ON にすると、もう1度押しても OFF に戻らないことがある

  3. フロントパネルのバックパネルががグラグラしている

  4. 底板の手前中央部が膨らんでいる

  5. パンチングメタル天板の右奥側にちょっとした塗装ハゲがある



調整

写真の FM/AM 標準信号発生器 Panasonic VP-8175A (以下 SSG)、 FM Stereo 信号発生器 MEGURO MSG-2170、 周波数カウンタ ADVANTEST TR5822 を使って調整します。 10年も経つとコイルやトリマはズレます。
  

  1. 電源電圧チェッックポイント (VP)

    VP 標準値 実測値 判定
    電源基板 +BOUT +15V +14.5V
    電源基板 -BOUT -15V -13.6V

  2. FM 受信部の調整

    手順 SSG出力 5T10 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - mode : normal
    hi-blend : normal
    tuning lock release : ON
    multipath : OFF
    IF narrow : ON
    CLL off : ON
    muting off : ON
    - -  
    2 78MHz
    30〜60dB
    無変調
    指針を 78MHz に合わせる フロントエンド
    L0
    R185 (47kΩ) 左側電圧 = 最大 OSC トラッキング調整
    指針をダイヤススケールに
    合わせるのが目的
    3 88MHz
    30〜60dB
    無変調
    指針を 88MHz に合わせる フロントエンド
    TC5
    4 手順2〜3を数回繰り返す
    5 78MHz
    30dB
    無変調
    78MHz 受信 フロントエンド
    LA
    LR1
    LR2
    LR3
    R185 (47kΩ) 左側電圧 = 最大 RF トラッキング調整
    6 88MHz
    30dB
    無変調
    88MHz 受信 フロントエンド
    TCA
    TCR1
    TCR2
    TCR3
    7 手順5〜6を数回繰り返す
    8 83MHz
    30dB
    無変調
    83MHz 受信 フロントエンド
    IF
    R185 (47kΩ) 左側電圧 = 最大 IF 調整
    9 83MHz
    60dB
    無変調
    VR103 R181 (560Ω) リア側 = 200mVpp
    オシロスコープで観測
    IF narrow GAIN 調整
    10 83MHz 受信
    IF narrow : OFF
    VR102 IF wide GAIN 調整
    11 83MHz
    90dB
    mono 1kHz
    L104 オーディオ出力 = 高調波歪最小 QR 検波調整
    12 L105 TP52〜TP53 間電圧 = 0V
    13 手順11〜12を数回繰り返す
    14 83MHz
    90dB
    mono 400Hz
    83MHz 受信 VR106 オーディオ出力電圧 = 1Vrms オーディオ出力調整
    15 83MHz
    90dB
    stereo 1kHz L+R
    VR108 以下の [VCO 調整手順] を参照 VCO 調整
    16 VR107 オーディオ出力 = 19kHz 成分最小 パイロットキャンセル調整
    17 83MHz
    90dB
    stereo 1kHz L
    VR101 L ch. オーディオ出力 = 高調波歪最小 ステレオ高調波歪調整
    18 83MHz
    90dB
    stereo 1kHz R/L
    VR105 L/R ch. オーディオ出力 = 最小 セパレーション調整
    19 83MHz
    90dB
    mono 1kHz
    VR104 オーディオ出力 = 最小 MULTIPATH 調整
    20 83MHz
    60dB
    無変調
    VR110 S メータ = ちょうどフル S メータ調整
    21 83MHz
    90dB
    mono 400Hz
    - オーディオ出力電圧 = 測定 test tone 調整
    22 mode : test tone VR109 オーディオ出力電圧 = 手順21の -6dB

  3. 調整結果



使ってみました

  1. LABORATORY REFERENSE SERIES

  2. 機能関連

  3. 感度と音質



仕様ほか

  1. ドキュメント

  2. 仕様

    項目 仕様
    受信周波数範囲 76〜90MHz
    実用感度 (75Ω) 0.85uV (9.8dBf)
    S/N 50dB 感度 (75Ω) 1.6uV (15.2dBf)
    S/N 比 80dB
    周波数特性 20〜17,000Hz -0.5dB
    高調波歪率 mono wide : 0.05%(100Hz), 0.05%(1kHz), 0.07%(6kHz)
    mono narrow : 0.15%(1kHz)
    stereo wide : 0.07%(100Hz), 0.06%(1kHz), 0.1%(6kHz)
    stereo narrow : 0.4%(1kHz)
    キャプチャーレシオ 0.8dB (wide)
    2.0dB (narrow)
    2信号選択度 (400kHz) wide : 30dB
    narrow : 90dB
    スプリアス妨害比 100dB
    IF 妨害比 100dB
    イメージ妨害比 100dB
    AM 抑圧比 62dB
    ステレオセパレーション wide : 45dB (100Hz), 50dB (1kHz), 45dB (10kHz)
    narrow : 30dB (1kHz)
    出力レベル/インピーダンス fix : 1V/100Ω
    variable : 0〜1V/100Ω〜1.25kΩ
    アンテナインピーダンス 75Ω不平衡型
    300Ω平衡型
    電源電圧 AC100V, 50/60Hz
    定格消費電力(電気用品取締法) 20W
    外形寸法 442(W)×101(H)×400(D)mm
    重量 7kg
    その他  
    発売時期 1978年8月
    定価 108,000円