Accuphase T-109

Accuphase T-109 がやってきた!

2013年8月31日、 Accuphase T-109 を沖縄の T さんより、研究用にお借りしました。 定価15万円 の高級機です。 中古でも高価なので、なかなか入手に踏み切れないマシンです。

Advanced DGL 検波 が特長の FM 専用シンセサイザーチューナです。

この T-109 の後継機として定価17万円の T-109V がありますが、おそらく何にも変わらないと思われ、T-109 のほうがお買い得です。

一般の方のイメージは「高級機=高感度」と思いますが、オーディオの世界ではこれは当てはまりません。 「高級機=高音質」に重点が置かれているので、感度はむしろ程々です。 ですから、こういう高級機を使うには、強電界でマルチパスが極小の最良の環境が必要です。



早速、程度&動作チェック

  1. 外観

  2. 入手した状態のまま電源 ON してチェックしました



カバーを開けてみました

  1. 基板の作りは非常に良いです。 写真をクリックするとフロントエンドのカバーを外した拡大写真を表示できます。

  2. IC を使用して合理化が図られています。


  3. FM フロントエンド

  4. FM IF 部

  5. Advanced DGL 検波部

  6. MPX 部

  7. メモリバックアップ



修理

  1. IF NORMAL 受信時に、音がピークになる辺りで、ジッジッというクリッピング歪のようなものを感じる。

  2. 上記修理後の動作チェックで [MUTE] [9] [11] [13] [15] ボタンが動作しない現象が出ました。



調整

写真の FM/AM 標準信号発生器 Panasonic VP-8175A (以下 SSG)、 FM Stereo 信号発生器 MEGURO MSG-2170、 周波数カウンタ ADVANTEST TR5822 を使って調整します。 10年も経つとコイルやトリマはズレます。

  

  1. 調整ポイント

    種別 調整ポイント 備考
    VR VR1 MUTING LEVEL
    VR VR2 S-METER
    VR VR3 SEPARATION
    IFT TD1 T-METER NULL
    IFT TD2 IF DISTORTION 1
    IFT TD3 IF DISTORTION 2
    IFT TD4 2nd IF (2.5MHz)

  2. 電圧チェック

    ポイント 標準値 実測値 備考
    IC1 (24M12) OUT +12V +12.01V チューナ/オーディオ用
    IC2 (79M12A) OUT -12V -11.83V オーディオ用
    IC3 (24M05) OUT +5V +4.97V ロジック用

  3. FM 受信部の調整

    手順 SSG周波数 SSG出力 T-109 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - - SELECTIVITY : NORMAL
    METER : SIGNAL
    FILTER: OFF
    MUTE : OFF
    MONO : OFF
    - -  
    2 - - 76MHz 受信 フロントエンド内
    L4
    TP1 CV〜G 間電圧 = 1.15V (実測値)
    3 - - 90MHz 受信 フロントエンド内
    VC5
    TP1 CV〜G 間電圧 = 17.5V (実測値)
    4 - - - - 手順2と3を数回繰り返す VT トラッキング調整
    5 76MHz 30dB
    変調 : OFF
    76MHz 受信 フロントエンド内
    L1
    L2
    T1
    L3
    TP2 S〜G 間電圧 = 最大  
    6 90MHz 30dB
    変調 : OFF
    90MHz 受信 フロントエンド内
    VC1
    VC2
    VC3
    VC4
    TP2 S〜G 間電圧 = 最大  
    7 - - - - 手順5と6を数回繰り返す RF トラッキング調整
    8 83MHz 30dB
    変調 : OFF
    83MHz 受信 フロントエンド内
    T3
    TP2 S〜G 間電圧 = 最大 IF 調整
    9 83MHz 90dB
    変調 : OFF
    83MHz 受信 TD1 R42 両端電圧 = 0V FM 同調点調整
    10 83MHz 90dB
    変調 : OFF
    83MHz 受信 TD4 IC20 TA7310P 7pin 波形 = 最大 2nd IF 調整
    オシロスコープで観測
    11 83MHz 20dB
    変調 : mono 1kHz
    83MHz 受信
    MUTE : ON
    VR1 MUTE ON/OFF が切り換わる境界
    となるように調整
    MUTE レベル調整
    12 83MHz 60dB
    変調 : OFF
    83MHz 受信 VR2 S メータ = 4 S メータ調整
    13 83MHz 90dB
    変調 : stereo 1kHz
    83MHz 受信 TD2
    TD3
    オーディオ出力 = 高調波歪率最小 IF 歪調整
    14 83MHz 90dB
    変調 : R/L ch. only 1kHz
    83MHz 受信 VR3 L/R ch. オーディオ出力電圧 = 最小 セパレーション調整

  4. 調整結果

    項目 SELECTIVITY L R 単位
    ステレオセパレーション NORMAL 51 57 dB
    パイロット信号キャリアリーク - -82 -80 dB
    オーディオ出力レベル偏差 (MONO) - 0 0 dB



使ってみました

  1. フロントパネル

  2. リアパネル他

  3. 機能関連

  4. 評価



仕様&その他