DENON AVR-550SD をゲット!
フルデジタルアンプ〜超お奨め!
2009年2月15日に
フルデジタルアンプの AV レシーバー
DENON AVR-550SD
を
アキバのヨドバシカメラ
で、在庫限りの最終価格ということで税込29,800円でゲット!しました。
10% ポイントが付いたので実質26,820円かな。
定価は58,800円(税込)です。
日本で「レシーバー」というと FM/AM チューナー付きプリメインアンプをさします。
一部では「チューナーアンプ」とも呼ばれます。
AVR-550SD は現行製品です。
2004年6月発売ですから、ずいぶん息の長い製品です。
間もなく生産完了する兆しがあります。
(2009年2月時点)
フルデジタルアンプとは
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AVR-770SD
と AVR-5500SD は、ほぼ同機能の AV レシーバーです。
AVR-770SD はデジタルアンプ構成で、AVR-550SD はフルデジタルアンプ構成です。
さて、デジタルアンプとフルデジタルアンプは何が違うのでしょう?
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以下の図は AVR-770SD と AVR-550SD のオーディオ回路の構成図です。
メーカでは構成を公表していないので私の推測です。
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AVR-770 ではパワーアンプだけがデジタルアンプ(PWM 方式 D 級アンプ)です ・・・ 通常、このタイプをデジタルアンプと呼びます。
パワーアンプの入力はアナログなので、DSP の後に DAC を入れて「デジタル→アナログ」変換をしています。
このため、
[デジタル入力]→[DSP]→[DAC]→[Class-D Power Amp.]→[LPF]→[スピーカ]
と信号が流れます。
アナログ入力の場合はもう1段 ADC が入ります。
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AVR-550SD では
[デジタル入力]→[DSP]→[Digital Amp.]→[LPF]→[スピーカ]
と信号が流れ、シンプルになります。
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AVR-550SD の Digital Amp. においても出力段は PWM 方式 D 級アンプですが、PWM 変調波はデジタル演算によりデジタル的に作成します。
AVR-770SD の Class-D Power Amp. では、PWM 変調波はアナログ的に作成します。
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すなわち、AVR-550SD では
デジタル入力は LPF 直前までデジタルのまま処理されます ・・・ これがフルデジタルアンプ
です。
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アナログ入力はフルデジタルアンプではそのまま処理できないので、一旦 ADC でデジタル化します。
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このように、
フルデジタルアンプ全体で DAC のような動作
になります。
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ほぼ全部をデジタル処理するので、ノイズマージンが高く、自身でもノイズを発生しないので、
S/N は非常に高い
です。
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フルデジタルアンプを使うと、CD プレーヤなどのデジタルオーディオ機器の DAC が不要になります。
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フルデジタルアンプは、デジタルソースにとっては
まさに理想のアンプ
と言えます。
カバーを空けてみました
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基板の作りは良いです。
写真をクリックすると拡大写真が表示できます。
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アナログアンプと違って、とてもオーディオアンプにはみえません。
コンピュータ周辺機器のような作りです。
こうなるとオーディオ専業メーカの従来のアナログアンプ作りのノウハウは、全く役に立たないように思えてしまいます。
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左側のホワイトベーク基板はスイッチング電源部です。
実に全体面積の 40% が電源です。
フルデジタルアンプでは電源のインピーダンスを極小にする必要があるので、スイッチング電源採用が正解です。
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右側のグリーンレジストされた基板がアンプ部です。
二階建構造になっており、下側基板がオーディオ部、上側基板がビデオ部です。
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中央部はフルデジタルパワーアンプ終段のスイッチング用パワー FET とローパスフィルタです。
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D 級アンプは電源効率が良く理論上は出力段での損失がないので、パワー FET×12個で放熱板は1枚のアルミ板で済みます。
これで連続 600W も出せるんですよ!!!
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ローパスフィルタは LC 型で、トロイダルフェライトコアにエナメル線を巻きつけてあるのがコイル、左列のトロイダルフェライトコアの間にポツポツ見える茶色の部品がコンデンサです。
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FM/AM チューナー部分は右上にある小さいシールドボックスです ・・・ たったこれだけか!
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主な使用 IC は以下です
- 定評のある優れた IC を使っています。
- TAS5076×1個 と TAS5182×3個でフルデジタルアンプの主要部分を構成します。
- PCM1804 は2個使われています。
- SUB-VOL 基板に BD3812F は2個使われています。
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AVR-550SD と AVR-770SD は兄弟機だが中身は全然違う!
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AVR-770SD
は定価78,750円、AVR-550SD は定価58,800円です。
型番と定価からは AVR-770SD が上位機種で AVR-550SD が下位機種という印象を受けます。
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ところが、中身をチェックしてみた結果、AVR-770SD と AVR-550SD は全く設計が違う機種とわかりました。
AVR-770SD
の内部写真と比較していただくと一目瞭然です。
使用 IC も AVR-770SD と共通のものが1個もありません。
似ているのは外観と操作性だけです。
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筐体の底板を見れば判るのですが、基板の固定方法が AVR-770SD より合理化(コストダウン)されています。
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性能と音質からは
AVR-550SD のほうが間違いなく上位
です。
使用上の注意!
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スピーカ端子
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スピーカ端子は BTL 出力となっており、赤黒端子間は 0V ですが、赤または黒端子〜グランド間には +18.27V の電圧が掛かっています。
2ch ステレオモードでは、FL/FR 以外のスピーカ端子への出力は完全に OFF になり、赤または黒端子〜グランド間電圧が 0V となるようです。
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間違って、赤または黒端子〜グランド間にスピーカを接続してしまうと、最悪スピーカのボイスコイルが焼損します。
その前に AVR-550SD の保護回路が働くとは思いますが、注意しましょう。
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同様の理由で、赤黒端子のペアリングを間違えないようスピーカ線を配線する必要があります。
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スピーカ端子へケーブルの裸部分を接続する時に、これらの事故が起きやすいです。
AVR-550SD の電源を切った状態で接続すべきです。
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事故をできるだけ回避するため、私は
バナナプラグを使ってスピーカ端子と接続することを強くお奨めします。
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2ch モードでもサラウンド設定は有効
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2ch モードで [STEREO] と [DIRECT] の音が全然違うのに気がつきました。
[STEREO] では低音域がカットされるようで、音が軽くなり過ぎます。
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いろいろ調べた結果、[STEREO] では 2ch モードにおいても、サラウンド設定の [SP. CONFIG.] 設定が FRONT に対して有効になるためと判りました。
デフォールトでは [FRONT : Small] とされており、この設定では低音域カットされます。
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2ch モードで使うなら、SETUP メニューの [SP. CONFIG.] にて [FRONT : Large], [CNTR : None], [SURR. : None], [SUR.B : None], [SW : NO] に設定したほうが良いです。
周波数特性実測 (1W 出力時)
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アナログ入力時 ・・・ 元データは
こちら
です。
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AVR-550SD の [CDR/TAPE] アナログ入力で、2ch モード [DIRECT] で測定しました。
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測定範囲は 10〜44,000Hz です。
デジタル入力時と比較できるよう、グラフの縦横軸を揃えてあります。
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考察
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若干、高域でレベルが上がるようですが、10〜22,000Hz では、ほぼフラットです。
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4Ω/8Ω/16Ωいずれも 10kHz までの特性はほぼ同じです。
10kHz 以上で差が出て、インピーダンスが高いほどハイ上がりになります。
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4Ω/8Ω/16Ωいずれも 22kHz を過ぎてから急激にレベルが落ちます。
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これはアナログ入力の場合、アナログを一旦デジタルに変換する ADC が入るためです。
サンプリング周波数は 48kHz でしょう。
22kHz まではフラットなので、44.1kHz サンプリングではなく、48kHz サンプリングと思います。
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このため、高域の特性は ADC の特性を計測しているようなものです。
よって、次項でデジタル入力時の周波数特性も測定してみました。
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デジタル入力時 ・・・ 元データは
こちら
です。
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AVR-550SD の [OPT1] デジタル入力で、2ch モード [DIRECT] で測定しました。
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デジタル入力は 96kHz 16bit DAI 信号を生成して実施しました。
このため、測定系で保証できる周波数レンジは 10〜44,000Hz です。
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測定保証範囲は 10〜44,000Hz ですが、参考にレンジを広げて 1〜48,000Hz のデータをプロットしました。
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考察
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10〜22,000Hz では、ほぼフラットで、高音域はアナログ入力時の 22,000Hz までの結果とほぼ同じです。
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一番素直な特性は4Ω時で、8Ω時は少し高域上がり程度です。
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16Ω時は高域がかなり上がりますが、20kHz 以上は可聴域外なので、聴感上はあまり影響がないように思います。
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ただ、20kHz 以上は単音では聴こえなくても、ハーモニーとして間接的に聴こえるという説もあるので、DENON 推奨の6Ωというのは正解と思います。
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低音域はアナログ入力時より大きく伸びています。
測定結果保証外ですが、4Hz まではフラットで 1.8Hz で -3dB 程度と、DC アンプに近いです。
ちなみに 0Hz (すなわち DC) を入力したら AVR-550SD の保護回路が働いて電源 OFF となりました。
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4Ω/8Ω/16Ωいずれも 44kHz を過ぎてから急激にレベルが落ちます。
これは 96kHz サンプリング時のローパスフィルタが効き始めるためです。
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考えたら当たり前なのですが、フルデジタルアンプはサンプリング周波数で再生周波数の上限が決まるようです。
AVR-550SD は 192kHz/24bit までの DAI フォーマットに対応します。
我が家の測定環境ではできないのですが、192kHz サンプリングで周波数特性を計測すると、88kHz 程度まで高域が伸びているはずです。
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アナログ入力時の測定結果も踏まえ、
フルデジタルアンプが真価を発揮するのはデジタル入力の時
と考えます。
使ってみました
-
お断り
- AVR-550SD は高性能 AV レシーバですが、私は 2ch ステレオで使うことを主目的にしており、このため、ここでの評価は 2ch ステレオモードで行っています。
- 2ch ステレオということでスピーカは2本しか接続しておらず、デジタルパワーアンプは常に4つも遊んでいます。
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全体に
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最大の特長は
フルデジタルアンプ
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AVR-550SD のデジタル入力〜スピーカ端子直前までデジタル信号のままです。
プリアンプ部はデジタル演算処理動作、メインアンプ部は PWM 変調による D 級動作になります。
PWM 変調波もデジタル演算にて作成します。
一番最後のスピーカ端子直前にローパスフィルタが入り、ここでアナログ信号に戻ります。
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以上のように、
フルデジタルアンプ全体で DAC のような動作
になります。
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フルデジタルアンプはデジタル演算器ですから、厳密にはアンプではなくて変換器です。
例えて表現するなら
「1bit DAC の電力版」
とでも言いましょうか。
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未来を予感させるスタイリッシュなデザインです
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独特なデザインで、アンプだと言われなければ、何なのか判らないです。
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サイズは 434(W)×65(H)×331(D)mm で同社の
AVR-770SD
に比べて高さで 15mm、奥行きで 49mm 短くなり、一回り小さくなりました。
筐体部分だけの高さは 52.5mm でフロントパネルの上下に傾斜曲げが入っているので、かなり薄いように感じます。
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重さは 4.8kg と、とっても軽いです。
片手で楽々抱えられます。
これで 100W×6ch アンプですから、デジタルパワーアンプの威力は凄いです。
AV アンプというと、鉄の塊か?と思うほどデカくて重いアンプが多いですが、フルデジタルアンプは電源効率が良いのでこのサイズ・重さに収まります。
そして音も良いです。
今までのアナログアンプはいったい何だったのか・・・
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総出力 600W にも関わらず消費電力は 105W と少な過ぎです ・・・ 定常使用状態での消費電力だと思います。
おそらく、全てのチャンネルで 100W を同時出力した時は 700W くらいになると思います。
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AV アンプは(家族で使うことを想定して)パネル文字が日本語であることが多いですが、AVR-550SD は幸いなことに全て英語表記です。
私は、英語表記のほうがパネル面がスッキリして好みです。
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質感が良いです
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フロントパネルはアルミヘアラインです。
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フロントパネルの半分を占める表示部はハーフミラー加工されたアクリル板です。
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表示器は FL 表示管で、その表示はハーフミラー板を通過して浮き上がるように表示されます。
この感じはとても良いです。
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FL 表示の明るさは、リモコンの [DIMMER] ボタンを押すことで3段階に変えることができます。
完全に消すこともできます。
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FL 表示を完全に消しても、何かの操作をすると1秒程度は再表示して消灯に戻ります ・・・ 私の通常設定です。
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[MASTER VOLUME] [FUNCTION / SELECT] ツマミは無垢ではありませんがアルミ製です。
[MASTER VOLUME] ツマミは操作が重いです ・・・ 特に問題はなく、私はマシンという感じがして好みです。
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電源 ON で [POWER LED] が点滅を始め、数秒後に内部からリレーのカチッという音と同時に点灯状態になります。
電源とデジタルパワーアンプが十分安定状態になってからスピーカ端子が ON になるので、電源 ON/OFF 時のポップノイズは皆無です ・・・ さすがオーディオ専業メーカ製です。
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2ch ステレオモードでは、更に [STEREO] と [DIRECT] の2つのモードがあります
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[STEREO] モードではトーンコントロール機能が有効となります。
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[DIRECT] モードではトーンコントロール回路をバイパスし、よりピュアに音響を聴けます。
私はこのモードを常用とします。
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[VOLUME] の左右の音量偏差は全くないです。
分解能 1dB 単位の音量調整ができます。
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ミニジャックながらヘッドホン端子があります。
使わないと思うけど、「ドルビーヘッドホン」にも対応しており、ヘッドホンでサラウンド音響も楽しめます。
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フル操作がリモコンからできます ・・・ というかフル操作するにはリモコンが必要です。
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リモコン型式は RC-965 で
AVR-770SD
のものと同じです。
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リモコンには各社・各機器のリモコンコードが記憶されており、設定することで各社の各機器を操作することができます。
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機能が豊富で
取扱説明書
は96ページもあります。
全てを理解するには少々時間がかかります。
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DENON は「AVR-550SD がフルデジタルアンプであることを宣伝文句にしていない」です。
なぜか隠蔽しています。
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他社のフルデジタルアンプとの比較(2009年2月時点)
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AV フルデジタルアンプとしての対抗機種の
Panasonic SU-XR57
と
KENWOOD VRS-N8100
にはデジタル出力がありませんが、AVR-550SD にはあります。
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ピュオーディオ用のフルデジタルアンプ
KENWOOD R-K1000-N
にもデジタル出力がありません。
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SU-XR57, VRS-N8100, R-K1000-N にはデジタル出力がなぜないのでしょう? ・・・ デジタル録音機とデジタル接続できません。
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AVR-S550, VRS-N8100, R-K1000-N には FM/AM チューナーがありますが、SU-XR57 にはありません。
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VRS-N8100 にはファンが付いていて結構うるさいようです。
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AVR-550SD にはファンが無くて静かですが、結構天板が熱くなります。
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熱くなる部分は正面から見て天板左側で、ここには電源部があるのですが、排気用のスリットがないのです。
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デジタルアンプ部より電源部のほうがはるかに熱を持つのに、なぜスリットがないのでしょうね???
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AVR-550SD, SU-XR57, VRS-N8100 は同じ TI のフルデジタルアンプ IC を使っているようです。
従って、スペックや音質はほぼ同じと思います。
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AVR-550SD, SU-XR57, VRS-N8100 の中では AVR-550SD が一番筐体が小さいくて軽いです。
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リアパネルです ・・・ 実に端子類が多いです
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アンテナ入力
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FM アンテナ入力は F 端子になっており、妨害電波の混入を避けられます。
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AM アンテナ端子はワンタッチコネクタになっており、ここに AM ループアンテナを接続します。
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アナログ AV 入出力
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アナログ AV 入力は [VCR] [TV/DBS] [DVD/VDP] の全部で3系統です。
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アナログ AV 出力は [VCR] の1系統です。
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アナログオーディオ入出力
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アナログオーディオ入力は [CDR/TAPE] の1系統です。
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アナログオーディオ出力は [CDR/TAPE] の1系統です。
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D4 ビデオ入出力
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D4 ビデオ入力は [VIDEO-1] [VIDEO-2] の全部で2系統です。
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D4 ビデオ出力は [MONITOR] の1系統です。
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[VIDEO-1] [VIDEO-2] は物理名で、この名前で入力選択することはできません。
この物理名を [VCR] [TV/DBS] [DVD/VDP] のいずれかに割り当て(AV ビデオ入力と置き換える。)て使います。
[Video In Assignment] メニューにて割り当てます。
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2系統の D4 ビデオセレクタとしても使えます。
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デジタル音声入出力
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デジタル音声入力は、光 [OPT-1] [OPT-2] と同軸 [COAX] の全部で3系統です。
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デジタル音声出力は [OPT-2] の1系統です。
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[OPT-1] [OPT-2] [COAX] は物理名で、この名前で入力選択することはできません。
この物理名を [VCR] [TV/DBS] [DVD/VDP] [CDR/TAPE] のいずれかに割り当て(アナログ音声入力と置き換える。)て使います。
[Digital In Assignment] メニューにて割り当てます。
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[OPT-2] 出力端子を活用して3系統のデジタル音声セレクタとしても使えます。
[OPT-1] [OPT-2] [COAX] 入力端子に入れた DAI 信号がそのまま [OPT-2] 出力端子に出力されます。
アナログ入力を DAI 信号に変換する機能はないです。
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スピーカ出力端子
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[FRONT L] [FRONT R] [CENTER] [SURROUND L] [SURROUND R] [SURR.BACK] の6系統あります。
それぞれ出力 100W です。
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AV アンプではリアパネルの端子面積を小さくするために、スピーカ端子が特殊なものが多いですが、AVR-550SD では標準サイズの端子なので使いやすいです。
ケーブル直接接続とバナナプラグ接続に対応します。
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スピーカ端子は BTL 出力
になっています。
グランドから浮いているので要注意です。
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インピーダンスが6〜16Ωのスピーカに対応します。
TI のデジタルアンプ IC はそもそも4Ωにも対応しているので、4Ω程度までのスピーカ接続にはそれほど問題はないと思います。
低いインピーダンスのスピーカほど出力が取り出せます。
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その他の端子
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[SUBWOOFER OUT] というサブウーファへのアナログ出力が1系統あります。
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[FRONT L] [FRONT R] [CENTER] [SW] [SURR. L] [SURR. R] の外部アナログ入力端子があります。
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これはサラウンド処理された出力を持つ機器(ハイビジョンの MUSE 3-1方式など)を接続するのに使います。
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[FRONT L] [FRONT R] は [DVD/VDP] と同じ端子で、端子を兼ねます。
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この機能を応用して、
AVR-550SD を 5ch デジタルパワーアンプとして使うことができます。
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[SW] 入力を [SURR.BACK] スピーカ端子より出力する機能がないので、5CH となります。
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アナログ入力となりますが、
192kHz/24bit ADC
が使われているので、高性能です。
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内臓 FM/AM チューナーの性能
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FM シンセサイザーチューナーのファン
としては、このチェックは欠かせません。
結果、
AVR-770SD
のチューナーより確実に性能が上です。
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チューナーユニットが変更されており、AVR-550SD のものは AVR-770SD のものより約1.5倍大きいです。
FM フロントエンドのバリキャップ数は未確認ですが、4連バリキャップと3連バリキャップくらいの性能差があります。
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FM 電波の過入力に対しては AVR-770SD より強いです。
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FM の受信周波数は 76〜108MHz と日本バンドから海外バンドまでカバーします。
90MHz 以下では 0.1MHz ステップですが、90MHz 以上では 0.05MHz ステップです。
AM の受信周波数は 522〜1629kHz で 9kHz ステップです。
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チューニング方法には [MANUAL] と [AUTO] があります。
[MANUAL] モードは強制モノラル受信機能を兼ねます。
[AUTO] モードでは放送により STEREO/MONO が自動的に切り替わります。
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プリセットメモリは FM/AM ランダムに40局分あります。
リモコンの [SHIFT] キーで A〜E グループに切り替わり、各グループ8個のメモリに記憶させることができます。
40局分もメモリがあっても多すぎて使いようがないです。
私は A グループに FM を、B グループに AM を登録し、C〜E グループは使っていません。
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放送局を自動的に探して自動でプリセットする [オートプリセット] 機能があります。
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シグナルメータ表示はありません。
このクラスのチューナーでは特に必要性を感じないです。
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FM の音質は、ごく普通でマトモに聴けます。
時報の音でチェックしても歪なく綺麗に鳴ります。
現在販売されている数万円の単体チューナー並みの音質は十分あります。
ただし、1980年代の高級チューナーと肩を並べるほどの音質ではなく、あくまで不満がないというレベルです。
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AM の感度は良いです。
音は普通です。
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検聴しました
-
スピーカは
ONKYO D-202AU
を接続しました
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2.5cm ソフトドームと 16cm ウーファーの 2WAY 構成で、振動板がホヤ貝の繊維とパルプでできています。
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インピーダンスは5Ωなので AVR-550SD が要求する6〜16Ωを少し逸脱しますが、特に問題なく使えました。
スピーカはコーンが動く構造なので、インピーダンスは周波数や入力電圧で複雑に変化します。
よって、スピーカのインピーダンスはあくまでも公称値であって、全ての条件で一定という代物ではありません。
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CD プレーヤと接続し、中島みゆきのファーストアルバム
私の声が聞こえますか
を再生しました。
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フルデジタルアンプ特有の
無味無臭・無色透明
の音質です。
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CD に入っている音を忠実に再生します。
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音の良いソースはその良さがストレートに出ますが、音の悪いソースは(余計な響きや音色付けがないので)その悪さが目立ってしまいます。
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高音域はスッキリ爽やか高解像度で音の分離も良いです。
AVR-770SD
より良い感じです。
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低音域はしっかり締まった動きの速い豊富な低音が出ます。
この低音の出方は価値が高いです。
AVR-770SD
より確実に良いです。
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S/N が物凄く良い ・・・
デジタルは 1 と 0 の2値だけを判別できれば良いのでノイズマージンが大きく取れるのです。
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オーディオで S/N は重要なファクタで、楽器の余韻までキッチリ聴こうとすると S/N が良くないと無理です。
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AVR-550SD は静か過ぎて不気味な感じさえします。
一音一音がよく聴こえます。
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残留ノイズはスピーカに耳をくっつけても全く聴こえません。
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S/N が良過ぎるので、逆に音楽ソースに混入しているノイズが目立つようになります。
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フルデジタルアンプの音質はアナログアンプから艶やクセを取り除いたものに近いので、好みでない方もいると思います。
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スピーカの音質をアンプの色付けなしに、そのままさらけ出してしまう ・・・
DAC レス
の音をぜひ聴いていただきたいです。
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アナログアンプ好みの方にむしろお奨めしたいです。
AVR-550SD をリファレンスにして、アナログアンプを「艶がある」「音に豊かさがある」とかの評価(実はクセ)ができると思います。
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実験として、リージョンフリーの安い DVD プレーヤ
EverGreen EG-DVDP2200C
のデジタル出力(同軸)を AVR-550SD に接続してみました。
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この場合でも高音質なマトモな音が出ました。
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この事実から、これから新たにオーディオシステムを構築するなら、フルデジタルアンプと安い DVD プレーヤで十分と言えます。
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こうして浮いた予算の残り全部をスピーカにかけたほうが音質向上に効果があると思います。
やはり、フルデジタルアンプはオーディオ界の
黒船
のようです。
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できれば DVD プレーヤには
Pioneer DV-610AV
のような、安価でも
SACD
が再生できるものが良いと思います。
DV-610AV は
実売12,800円程度
ですが、
140万円のユニバーサルプレーヤ
にも使われているメカ&基板なので、性能は良いと思います。
私も欲しいです。
-
そもそもデジタル技術とは、あるレベル以下のものはスパッと切り捨てて、残った要素の性能を単純な構造で飛躍的に向上させるという技術です。
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デジタルアンプは、アナログアンプのように部品のグレードに大きく左右されることはなく、安価な部品でハイエンドに迫る高性能なアンプが作れます。
アナログアンプで音質を上げるには、信号経路を極力シンプル、部品点数を極限まで少なく、個々のパーツのクオリティを上げる ・・・ という手法になります。
莫大なコストがかかります。
-
この事実は昔からのオーディオ専業メーカには困ることなのだと思います。
アンプの単価が下がって商売にならない。
長い時間をかけて醸成したオーディオ界の常識「高価な機器ほど良い音がする」が根底から崩れる。
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以上より、現状、フルデジタルアンプは AV アンプとか直接ピュアオーディオ分野を脅かさない製品、またはピュアオーディオ分野であってもエントリー向けの製品にしか採用されていないのだと思います。
(一部の例外はありますが。)
インターネットラジオとデジタル接続
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我が家ではインターネットラジオとして
SONY VGF-WA1
を使っています。
放送局は
Brandnew-J
が良いです。
全国どこでも東京の J-WAVE が聴けます ・・・ FM 放送より数秒遅れて音声が流れるのも面白い。
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VGF-WA1 は操作パネルが上部にあって目線より下側に設置しないと操作ができません。
私の研究室では設置場所の関係で、どうしてもアンプよりかなり遠い位置に設置するしかありません。
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VGF-WA1 にはアナログ出力端子(RCA)とデジタル出力端子(光)が付いています。
-
今までは 5m もの長〜いピンケーブルでアンプと接続していました。
これくらいケーブルが長いと、再生音の高域に影響が出るのが心配でした。
-
AVR-550SD にはデジタル音声入力があるので、光ケーブルでデジタル接続できます。
デジタル接続なら、再生音の高域に影響が出る心配はありません。
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早速、VGF-WA1〜AVR-550SD 間を接続してみました
-
アキバの
CompuAce
で「カモン DG-BB50」という角型両端光ケーブル 5m を調達しました。
税込880円で、安くて助かります。
配線は光ケーブル1本だけになってスッキリしました。
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音質はアナログ接続時より全体に低い音バランスに変わり、低域に厚みが出ました。
高域はキラキラ感が少し大人しくなりました。
-
これで、高域劣化の心配が解消して安心してインターネットラジオを楽しめます。
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それにしても、よく間違わずにこんな細い光ケーブルでデータ伝送できるものですね。
デジタル技術に感心します。
サラウンドスピーカを接続してみました
-
AVR-550SD には 100W × 6ch ものスピーカ出力端子があるのですが、2ch ステレオ用途でしか使っておらず、4ch がいつも空いているのが悲しい ・・・ と思っていました。
-
そこで実験的に
DENON SC-A11R
を接続して 4ch サウンドにしてみました。
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AVR-550SD のサラウンドモードには [5CH/6CH STEREO] [MONO MOVIE] [ROCK ARENA] [JAZZ CLUB] [VIDEO GAME] [MATRIX] があります。
-
試してみたところ、[ROCK ARENA] [MATRIX] が私の研究室に合うようです。
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インターネットラジオ放送で使ってみました
-
[ROCK ARENA] では、フロント側にも音の加工が入り、サラウンド側からも反射音が聴こえてきます。
音が全体に残響を含み円やかに感じます。
当然ですが音の解像度はかなり甘くなります。
大袈裟に言うと5畳くらいの狭い研究室が
埼玉スーパーアリーナ
に変身します。
-
[MATRIX] では、フロント側はピュアステレオ音そのままで、サラウンド側から残響だけが聴こえてきます。
音の解像度はそのままで残響が付加されるだけなので、クラシック音楽でも大丈夫です。
-
いずれのモードでも部屋のどこで聴いてもフゥワァ〜とした柔らかい円やかな音が広がります。
リモコンからのモード切換だけでいつでもピュアステレオに戻すことができるので、このまま使うことにします。
マイコンの初期化
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本体の動作異常があった場合、[マイコンの初期化] を行うと回復する場合があります。
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さまざまな設定を全て工場出荷時に戻したい場合にも [マイコンの初期化] でできます。
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[マイコンの初期化] の方法
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[POWER] ボタンを押してスタンバイ状態にしてから、壁の電源コンセントから電源コードを抜きます。
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本体の [5CH/6CH STEREO] ボタンと [DIRECT/STEREO] ボタンを同時に押しながら、電源プラグをコンセントに差し込みます。
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ディスプレイ表示が約1秒間隔で点滅するのを確認後、2つのボタンから指を離します。
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マイコンが初期化されます。
また、各種設定状態がすべて工場出荷時の初期設定に戻ります。
う〜ん、困った!
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現在メインオーディオシステムとして使っているのは、定価16万円のラインプリアンプ
Marantz DAC-1
と、実売3万円くらいのパワーアンプ
BEHRINGER A500
です。
特に A500 はとてもこの値段と思えない良い音が出ます ・・・ 十分20万円クラスの音です。
DAC-1 はソフト傾向の音で A500 はハード傾向の音なので、組み合わせるとベストな感じです。
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さて、このメインオーディオシステムの DAC-1+A500 と AVR-550SD を聞き比べてみました。
20万円 vs 6万円の対決です。
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通常の音量で聴く限りは残念ながら AVR-550SD のほうが細かい音がよく聴こえます。
特にデジタル入力時の S/N が良いです。
う〜ん、困った!
でも、DAC-1+A500 は AVR-550SD より出力に余裕があります ・・・ どちらも良い音なので引き分けにしておこう〜と。
仕様